自民党の小野寺五典元防衛相は28日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長らを念頭に、同党が1989年にまとめた「政治改革大綱」に基づき、党幹部は派閥を離脱する判断をすることになるとの認識を示した。

小野寺氏は、同党の政治刷新本部が25日にまとめた中間報告について「30年前に決めた政治改革大綱をしっかり踏まえてまとめられている。当然いまでもそのルールは生きている」と強調、「総裁や副総裁、幹事長等の主要な役職の人、閣僚は在任期間中は派閥を抜けると明確に書いてある。参議院会長も含め(派閥を)抜けていくことは普通の流れだ」と述べた。

一方、自民党の派閥のパーティー収入をめぐる事件で、党内から安倍派幹部の処分を求める声が出ていることに関し、小野寺氏は同党党規委員会で何らかの処分が出されるとの見通しを示した。その上で「本来政治家は処分を受ける前に自身で問題を重く受け止めたほうがむしろその後の政治活動がしやすくなるのではないか」と話し、安倍派幹部らに対し、自発的な対応を求めた。

立憲民主党の玄葉光一郎元外相は、安倍派の幹部らに対し、衆参両院の政治倫理審査会で説明を求める考えを示した。玄葉氏は「数千万円も不記載、あるいは裏金を持っていたこと、使っていたということだからきちんと説明してもらう。けじめが必要だというのは国民の声だ」と述べた。

以下、番組での主なやりとり。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
自民党の裏金事件をめぐり安倍派幹部の不起訴が決まり、捜査は終結したが、党内ではけじめを求める声が高まっている。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
実際に自民党としてどういう処分を下すのか。党紀委員会にかけられる可能性が高いと思うが、同委員会が行う処分は8段階ある。26日に起訴された池田佳隆被告は政治資金規正法違反容疑で7日に逮捕された時点で除名された。コロナ禍の緊急事態宣言下で銀座のクラブを訪問した3議員は離党勧告だった。今回の安倍派幹部に対してどういう処分があるのか、除名や離党勧告などもあるのか。

小野寺五典氏(自民党衆院議員):
これは党紀委員会で正確に判断していくと思う。当然、本人に何らかの処分が出るわけだから、受ける本人としても納得のいく形の説明も必要になってくる。ただ、本来政治家はこういう形での処分を受ける前に、自身として問題を重く受け止めた方がむしろその後の政治活動がしやすくなるのではないか。

玄葉光一郎氏(立憲民主党衆院議員):
確かに一丁目一番地は説明する責任だ。数千万円も不記載、あるいは裏金を持っていたこと、使っていたということだから説明してもらう。予算委員会だと、能登半島地震の問題の(質疑の)妨げになってはいけないから政倫審のようなところでいいと思うが、きちんと説明責任を果たしてもらう。あわせてやはりけじめは必要だというのは国民の声だ。

松山キャスター:
政治倫理審査会に安倍派幹部を呼んで説明を求めていくということか。

玄葉氏:
線引きは難しいが、やはり数千万円単位の裏金がどう使われたかの実態解明は必要だ。予算委員会(での質疑)の妨げにならないように政倫審で求めていくというのが野党の立場だ。

今回の問題の本質は、派閥がどうのこうのということではない。この間はびこっている、いわゆる「裏金文化」をどう一掃するかだ。30年前やりきれなかった政治とカネにまつわる政治改革、企業団体献金の問題、旧文通費問題を一気にやり遂げるチャンスだ。そういう国会にしなければいけない。

橋下徹氏(弁護士・元大阪府知事):
不透明な金があるので国民はいろんなことを疑ってしまう。政治家がいくら「いや違う。適正な金だ、適正な金だ」と言っても信じられない。

松山キャスター:
自民党の派閥の解消の動きがあるが、一部派閥は存続する形だ。今後、総裁選が行われるにあたり、その前に結局いろんな形でのグループがまたできるのではないかという見方が強い。

小野寺氏:
今回の提言(党政治刷新本部がまとめた中間報告)の中に、1989年に自民党がまとめた改革大綱があり、そこには総裁や副総裁、幹事長等の主要な役職の人は在任期間中は派閥を抜ける、閣僚は在任期間中派閥を抜けるなどと明確に書いてある。このことを今回重く受け止めてやることになるので、おそらくどこかのタイミングで、当然、この改革大綱に基づいていま名前がでた主要な人たちは派閥を抜ける判断をするのではないか。

松山キャスター:
現時点で派閥存続の意向を示している麻生副総裁も茂木幹事長も派閥の会長だが、役職を離れるべきだと考えるのか。

小野寺氏:
改革大綱にはそう書いてある。この大綱は今も生きている。対象者でもある小渕優子選対委員長はいち早く派閥を抜けたではないか。そういう党の重要な役目の人は、参議院の議員会長もそうだが、改革大綱に基づいて(派閥を)抜けることは普通の流れではないか。

松山キャスター:
中間取りまとめだけではなく、1989年の政治改革大綱に基づくルールも厳格に適用されるべきだと。

小野寺氏:
今回の中間取りまとめは、30年前に決めたこの政治改革大綱をしっかり踏まえることを前提に取りまとめられたと思っている。当然今でもそのルールは生きている。逆に言えば、いままでそれを守っていなかったこと(がおかしい)。閣僚による大規模なパーティー開催の禁止などはそこに書いてある。その原点をもう一回しっかり見つめ直す。さらにそこから踏み込んで、旧文通費も含めていろんな議論がこれから改革される方向で進められていくと思う。

玄葉氏:
30年前を思い出す。リクルート事件があり、東京佐川急便事件があり、金丸信元副総裁の金庫から金塊が出てきた。私は当時自民党に所属していたが、これはもう外から改革しなければダメだと言って飛び出した。あの時も(自民党は)「派閥解消」と言った。民主党政権ができた時も「派閥解消」と言った。おそらく2、3年経ったら元に戻る可能性が高いと言わざるを得ない。そこはむしろ(小野寺さんらに)頑張ってほしいと思うが、基本的に人は3人集まればグループはできるから、グループ全体がダメだなどと言っているわけではない。元の鞘に収まらないようにというか、グループのただの再編に終わらないでほしい。

永田町の水が汚れているわけでだから、汚れたら洗い流す、よどんだら入れ替える。そういう政治のダイナミズムを日本に持ち込むということだと思う。それはわれわれの責任だ。

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