派閥の政治資金をめぐる問題を受け、自民党は23日の「政治刷新本部」の会合で「中間とりまとめ案」を了承した。
「中間とりまとめ案」では、派閥から「人事とお金」の機能を排除することが明記されたが、派閥全廃には踏み込まず、政策集団としての存続を容認する内容となった。
岸田首相は、刷新本部後記者団の取材に応じ、「派閥ありきの自民党から完全に脱却する」として、派閥パーティの禁止や人事の関与を一切認めないと表明。これらを遵守すれば、政策集団の存続は認める考えを示したが、自民党の議員たちは中間取りまとめをどう受け止めているのか、出席議員の声は様々だ。
菅前首相(無派閥)「派閥の解散「党と方向性は一体が良い」

派閥の全廃を訴えていた菅前首相は、記者団の取材に対し、「総論としてこれからが大事だ、これに基づいて行動できるか、そういうことだと思う」と述べた。派閥の存続か解散かは、個々の派閥によって対応が分かれている現状について問われ、「党と方向性は一体であった方が国民から理解される、派閥の問題はこれから一番焦点になっていくことだろう」との考えを示した。
小泉元環境相(無派閥)人事と金の決別「総裁のリーダーシップ」

小泉元環境相は、記者団の取材に対し、〝人事と金の切り離し〟を明記したことは「今まで自民党が結党以来できなかった派閥と人事を切り離すと言うことが明記された。今回完全に決別ということで、その方向で一任を取ったのは、変化、変わっていくスタートだ」と評価した。さらに「間違いなく総裁のリーダーシップだ」と評価した。
中間取りまとめでは、「政策集団」として存続を容認する内容で、実質的な派閥が生き残るとの見方もされていることについては、従来の派閥が続くことはないとの見方を次のように強調した。
「今までの派閥は、人事と金を権力の源泉として行使できたことだ。それがなくなると、(政策集団として)残っていても力を十分に発揮できないということだ」
石破元幹事長(無派閥)「今までと何が変わるか分からない」

石破元幹事長は、従来の派閥の消滅には懐疑的な見方を示した。
「派閥はなくなることか。今解散を表明している派閥がなくなるだけで、その他は存続するのか。そこが分からない」と述べた。中間報告が掲げた金と人事からの決別については「金と人事は扱わないということをどのようにして、担保するのか」と、取りまとめられた中間報告案を実際に実施していくところが曖昧だとの考えを示した。
中間報告が容認した「政策集団」としての派閥については「政策集団として人事、あるいはお金に関わらないと言うことであれば、むしろ有るべきものなのでしょう」と、中間報告と同じく、政策集団は許容する立場を示した。
また、「国民が『よし分かったよ』ということにならないと、来たるべき補選や参院、衆院で国民が厳しい判断をすることになりかねない」「どういうふうに国民に判断されるか、示してみないとわからない」として、有権者からの評価を重視する考えを示した。
松川るい参院議員(安倍派)「派閥が不適切な問題を起こし、所属議員として不信を招いたことをお詫び」

安倍派の松川るい参院議員は「安倍派の一員だが、党からの指名で刷新本部の議論に入れてもらった」と議論に参加した経緯を、途中頭を下げて謝罪をしながら説明した。また、自身の政治資金の不記載について「204万円の不記載が残っていた」とを明らかにし、安倍派に返還することを表明した。
その上で、安倍派幹部の責任の取り方については「十分ではない、幹部には申し訳ないが、私たち、若手・中堅にはわからないことが多すぎて、幹部の『知らなかった』という説明に嘘があったとは思っていないが、国民はもっと分からないと思う、きちんと対応して欲しい」と安倍派幹部の説明が不十分だと指摘した。
山田賢司衆院議員(麻生派)「自民党自身の自浄能力必要」

麻生派の山田賢司外務副大臣は、記者団の取材に対し、「中間とりまとめ案」に盛り込まれた政治資金のあり方に関して、「野党に言われてとか、検察審査会に言われて出てくるのではなくて、自民党自身が自浄能力があることを示していくことが必要だ」との考えを示した。
船田元衆院議員(茂木派)「看板の付け替え一番ダメ」

茂木派の船田衆院議員は「看板の付け替えのように思われるのが一番ダメだから、一定期間おいて派閥を解消した後、純粋な政策集団に作り替えることが必要だ」と主張した。また「全ての派閥が一旦解消することが大前提」だと語った。