ごみ当番の親子がひき逃げされ死亡した事件で、85歳の鮮魚販売業者が逮捕された。男は事件直後の仕事先でふだんと変わらぬ様子で、警察の調べに対し「電柱とぶつかった」と容疑を否認している。2人をはねて死亡させ、気づかないことなどあるのだろうか。トラック側面の扉の状況から、ある可能性が見えてくる。

鮮魚商を逮捕 市場に向かう途中で

ひき逃げ事件があった県道(沼津市)
ひき逃げ事件があった県道(沼津市)
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2024年1月15日午前5時半頃、静岡県沼津市松長の県道でごみ回収の当番を務めていた親子2人が重なるように倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。
死亡したのは近くにすむ33歳の会社員の男性と59歳の母親で、2人とも背中側を骨折していた。路側帯のごみ置き場で、道路を背にしてカラス除けのネットを張るなどしていたとみられる。靴は道路の反対側まで飛ばされていた。

送検される容疑者(22日・沼津署)
送検される容疑者(22日・沼津署)

警察はひき逃げ事件として捜査し、周辺の防犯カメラの映像などから、事件発生の時間帯にトラックで現場を通っていた鮮魚販売業の85歳の男を20日逮捕した。2人をはねて死亡させ逃走した、過失運転致死と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いだ。
警察の調べに対し男は、「電柱とぶつかった」「人だと思わなかった」などと容疑を否認しているという。

側面破損にも動揺の様子なし

男の自宅は事件現場から1kmほど西側にある。沼津港にある沼津魚市場の関係者によると、男は魚市場で魚を仕入れ自宅周辺で販売したり、山梨方面に行って販売したりしていたそうだ。「魚を自分で見ないと気が済まないような、真面目な仕事ぶり」と、その人柄を教えてくれた。

沼津港・沼津魚市場
沼津港・沼津魚市場

事件当日の15日もいつものように自宅からひき逃げ事件の現場を通って沼津魚市場に来たのだろう、水産関係者によると午前5時半頃には来ていて、いつもとかわらない様子だったという。
ただ男のトラックは左側面が壊れていて、「どうしたの?」と尋ねると、男は「来る途中でぶつけた」と説明したが、動揺している様子はなかったそうだ。
トラックを見た人は、「蝶番のビスが外れるほど壊れていた」と話す。

側面の扉が開いた状態で走行

男が運転していたトラックのイメージ
男が運転していたトラックのイメージ

捜査関係者によると、事件現場手前の防犯カメラにはトラックの左側面の扉が開いたまま走行する様子が映っていたという。男のトラックは古く、劣化して扉が閉まらない状態だったとみられる。

ひき逃げ事件があったごみ置き場
ひき逃げ事件があったごみ置き場

トラック本体は車線を走行していたかもしれないが、扉が路側帯にはみ出して、ごみ当番をしていた親子に接触したのだろうか。
男は直後に行った沼津魚市場でいつもと変わらない様子で、警察の調べに対しても「電柱とぶつかった」「人だと思わなかった」などと供述しているという。

送検される容疑者(22日・沼津署)
送検される容疑者(22日・沼津署)

22日送検された男は警察車両に乗り込む際、腰が曲がり、かなりゆっくりとした足どりだった。
男の畑の近くに住みよく顔を合わせたという住民は「ミカンをくれたりして、優しそうな感じのおじいさんだった」と話す。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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