能登半島地震で福井・あわら市では震度5強を観測し、複数の住宅で地盤の液状化が起きた。家が傾き、住むことができなくなった69歳の男性は「大金を払ってリフォームか、それとも取り壊すのか…」といまだ明確な答えは出せていない。

全体が傾いた家…「まともに歩けない」

地震当日、新潟で撮影された映像には地震発生から2分後、路上に水があふれ出す液状化現象が映っていた。石川では、地盤が軟化したことで電柱が沈み込み、数多くの道路で隆起と陥没が起きた。

液状化により隆起した道路
液状化により隆起した道路
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防災システム研究所・山村武彦所長:
過去に沼や湖、川だった場所、地下水位がいまだに高い所では比較的、液状化が起こりやすい。条件が一致すれば、全国のいたる場所で起きる可能性は高い。

この指摘通り、あわら市にある北潟湖沿いの住宅で液状化が起きた。家主の高橋主税さん(69)は、家が傾いたことで住むことができなくなった。家の中には複数の段差が生じ、窓が閉まらない場所もあった。現在は近くに住む息子の家で避難生活を余儀なくされている。

床に筒状のものを置くと転がり続ける
床に筒状のものを置くと転がり続ける

家の中に筒状のものを置いてみると、端まで止まらずに転がり続ける。家全体が傾いたことで家の中では平衡感覚がおかしくなり、気分が悪くなることもあるという。

高橋主税さん:
本当にまともに歩けない。ずっと(頭が)クルクル回っている。これがつらいところ。

「リフォームすると生活がギリギリに」

まもなく70歳を迎える高橋さんは、家のリフォームか、それとも取り壊しか悩み続けてい
る。

葛藤する高橋さん
葛藤する高橋さん

高橋主税さん:
老い先短いからね…。残りの人生を考えると、家のリフォームに金を使うと自分の生活もギリギリになる。それで楽しい人生になるのかと思うし…。みんなだったらどうするか、色んな意見が聞きたい。

福井の自治体では、液状化が起こる可能性のあるマップを色分けして公表している。それによると、坂井市と福井市の広い範囲で液状化が発生する恐れがある。
埋め立て地のほか、1948年に当時の最大震度6を観測した福井地震で被害を受けた地域も、液状化しやすいと専門家は注意を呼び掛けている。

(福井テレビ)

福井テレビ
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