大手不動会社が発表した、九州・沖縄の幸福度ランキング。各自治体の住民に対する大規模調査の結果、幸福度が一番高いと評価されたのは、福岡県の大刀洗町だった。
子育て世代から高い評価の大刀洗町
福岡県のほぼ中央に位置する人口約1万6,000人の大刀洗町。のどかな田園風景が広がる一方、福岡市や久留米市など商圏部へのアクセスが良く、生活利便性も高いことが住民からの評価を得ている。
この記事の画像(12枚)さらに、幸福度1位の大きな要因となっているのが…。
「大東建託賃貸未来研究所」・宗健フェロー:
「子育て世帯の方々の幸福度が高い」っていうのが、大刀洗町全体の幸福度を押し上げている大きな要因だと思います。子育て政策全般の評価の高さが背景だと思います。
大刀洗町の子育て支援センターを訪れていた親子連れに幸福度を尋ねると、「普通に過ごしてて『なんか幸せやなぁ』と思います。子どもに対して、みんな優しいということもあるし…」「幸せです。保育料とかも安いですし、子育て世帯には優しい町だなと思いますね」などの意見が聞かれた。
大刀洗町では、これまで保育料の値下げや高校生までの医療費補助の拡充など、子育て支援を充実させてきた。ふるさと納税の税収の7割以上を子育て関連に使っているという力の入れようだ。
その結果、人口は年々増加。特に20代後半から40代にかけての子育て世代の転入者が増え続けている。こうした子育て世代の幸福度をさらに押し上げているのが町営のマンションなどの住宅支援だ。
20代女性(筑紫野市から3年前転入):
すごいいっぱい、きれいなアパートが安くて住めるっていう。「え、そんな家賃で住めるの?」みたいな。
新婚や子育て世帯を中心に入居者を募っている町営のマンション。8年前からこうしたマンションの建設を進め、若い世代を呼び込んでいる。
13畳の広々としたリビングに6畳前後の3部屋がついた70平米の3LDK。その家賃は、5万3,000円。福岡市の人気エリアの同じような部屋より10万円ほど安い家賃設定となっている。
この町営マンションに暮らす渡邊直也さん(38)。4年前に、筑紫野市から引っ越してきた。
町営マンションに暮らす渡邊直也さん:
なるべく子どもの教育とかにもお金をかけたいので、そういった面でもやはり、こういった家賃の安さっていうのは、とても助かってます。
役場の管理職の女性割合 46.7%
子育て支援の充実は、大刀洗町のある特徴に起因している。それは公務員の女性管理職の割合。大刀洗町は46.7%、約半分が女性管理職で、これは福岡県の自治体で一番高い割合だ。
町によると、このことが女性目線、母親目線の子育て支援の充実につながっているという。
支援を充実させ子育て世帯の幸福度を上げた結果が、数字にも表れている。それが合計特殊出生率。大刀洗町は1.70で全国平均や福岡県の平均も大きく上回っている。実際この10年ほど、大刀洗町の15歳未満の子どもの人口は増え続けている。
子育て世帯をしっかりサポートして幸福度を上げていくことが、町の活気にもつながっていくと言えそうだ。
町営マンションに暮らす渡邊直也さん:
食べ物もとてもおいしくて、特に野菜がおいしいです。料理がいただけるお店ありますよ。「オヤサイキッチン」さんとかですかね。
サラダビュッフェが魅力のレストランも
渡邊さんの紹介で向かったのは、目の前に田園風景が広がるレストラン「オヤサイキッチン」。ランチ時間に訪ねると行列ができていた。
オーナーが農家という店の特色は、自家農園をはじめ、近隣で収穫された新鮮野菜を使ったサラダビュッフェ。生野菜だけでなく、30種類ほどの野菜料理が食べ放題だ。
「オヤサイキッチン」・久冨さゆりさん:
できるだけお安く、いろんな種類を、お野菜を召し上がっていただきたいというところから、こういうかたちになっています。
ヘルシーな食事を求めて町の内外から多くの客が訪れている。「けっこう、週イチくらいで来てますね」(男性)や「野菜をふんだんにいただけるのが、なんか元気になった感じがします」(女性)と来店客も満足気だ。
一番人気は季節ごとのおすすめ定食。この時期は、近隣の農家が育てたビーツをジャガイモと混ぜ合わせたメインのビーツコロッケにサラダビュッフェ。
さらに食べ放題のごはんとみそ汁もついた定食は1,380円。
赤木希アナウンサー:
いただきます。ビーツのほんのりした甘みが口いっぱいに広がります。この衣の軽さ、香ばしさと、ビーツの甘みがすごくよく合っていて、とってもおいしいです。
子育て支援が充実し、住宅コストは低く、魅力的なレストランまである大刀洗町。幸福度ナンバー1の理由を垣間見ることができた。
(テレビ西日本)