元日の能登半島地震では福井県にも津波警報が出され、最大50cmの津波を観測。沿岸部の住民に取材すると、全員避難できたのは警報の20分後で、防災無線は「強風で十分に聞き取れなかった」という新たな課題が見えてきた。

“大津波警報”発令直後、すでに津波が…

2024年1月1日に発生した能登半島地震では、石川県沿岸部に2011年の東日本大震災以来となる「大津波警報」が発令された。能登半島の先端部分、石川・珠洲市では地震発生から約35分後、津波が集落をのみ込む映像が撮影された。

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避難した珠洲市の女性:
3回目の地震が終わった後に大津波警報だったので、主人は納屋から避難用の自転車を出そうとしたんですけど、出せるような状態ではなく…。もう波が来ていた

大津波警報の発令は、地震発生から12分後。発令直後には、すでに津波が住宅地をのみ込み始めていた。

福井市沿岸部では“無線聞こえず”避難に20分

田島嘉晃アナウンサー:
福井市の沿岸にある鷹巣地区の長橋町です。海のそばには住宅が立ち並び、約60世帯が生活しています

能登半島地震で、福井市は震度5弱を観測した。「今まで経験したことのない揺れでしたね」と振り返るのは、長橋町の堀豊明自治会長だ。地震発生から12分後、この地域には予想高さ3メートルの津波警報が発令された。

長橋町・堀豊明 自治会長:
テレビ報道で地震があったことはわかったが、津波という言葉が一番頭に残った。高さ3メートルということに一番びっくりした

堀会長の自宅周辺は海抜4メートルにあり、住民は急いで車に乗り込み高台へ避難した。集落では元日で帰省していた親族が多く、高齢者も支援を得て高台に逃げることができた。

ただ、住民たちが避難を終えたのは津波警報発令から20分後。仮に珠洲市のように警報直後に津波が到達していたら、避難が間に合っていない。

また、津波警報が出たあと、沿岸では市の防災無線で高台への避難が呼びかけられていたが…。

長橋町・堀豊明 自治会長:
防災無線の放送があまり聞き取れなかった。情報の連絡が課題になっている

市の防災無線が、風の影響などで聞こえづらかったという。

2020年に県が定めた津波浸水想定では、今回取材した鷹巣地区の最大高さは3.3メートル、最大到達時間は13分とされた。福井県内では、最大到達時間が1分となっている地区が6カ所ある。市町ではこの想定をもとに、津波ハザードマップの見直しを行っている。

(福井テレビ)

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