能登半島地震の発生から10日。石川県輪島市の朝市通りでは、11日も懸命の捜索活動が続けられていた。その輪島市内では、今、「土砂ダム」と呼ばれる新たな危機が迫りつつある。現状、確認できるだけで10カ所ある「土砂ダム」の現場上空に、FNNのヘリが向かった。
木をなぎ倒しなだれ込む土砂
輪島市の町野地区を上空から捉えた映像。画面中央に広がっていたのは、大量の木々を巻き込み、山肌を流れてきたとみられる土砂だ。

本来、川が流れていた部分に土砂が流れてきたことによって、いわゆる「土砂ダム」ができているのがわかる。

さらに、その場所に、上流から水がどんどん流れ込むことで、「土砂ダム」は大きくなっていく。

そんな「土砂ダム」は、川沿いの山間部に複数あるとみられている。少なくとも10カ所あるという。実際、町野地区とは別の市ノ瀬地区でも発見された。
家も電柱も水の中に…
周辺に道路や家がある集落の中にできた「土砂ダム」。

家の一階部分は完全に「土砂ダム」の中に浸かっていて、周りの電柱も根元部分がすっぽりと水に隠れている。

そして、かろうじてその姿を覗かせている橋も見えた。地震発生前はこの下に川が流れていたはずだが、元の様子は、全く分からない状態だ。

地震前の写真と地震後に撮られた写真を比べてみると、土砂が川の流域部分に流れ込み、広範囲に水が溜まっていることが分かる。

心配されるのは、こうした「土砂ダム」が今後どうなるのかだ。
大量の土石流が集落に流れ込む恐れも
現在は、損壊した家のすぐそばで、「土砂ダム」からの水が流れ落ちている様子も確認できる。

しかし、「土砂ダム」に今後さらなる雨や雪解け水が降り注ぐなどして増水した場合、ダムが決壊して、大量の土石流などが下流の集落に流れ込む恐れがあるのだ。

輪島市や珠洲市などでは11日夜から雨が降り始め、12日は雨脚が強まる見込み。新たな土砂災害に最大限の警戒が求められている。
(「イット!」 1月11日放送より)