最大震度7を観測した能登半島地震で、福井県警も安否不明者の捜索にあたった。第一陣として現地で活動にあたった隊員リーダーの野路恭平警部補は、道路の隆起と陥没で活動が困難に陥ったと振り返る。進まない救助に「歯がゆく断腸の思い」としながらも、「まだ生きている救助者のために一生懸命任務をこなした」と話した。

「地割れ」が多数…通行に制限も

取材に応じたのは広域緊急援助隊リーダーとして活動した、福井県警機動隊の野路恭平警部補。1日の地震発生を受け、その日の午後8時に福井を出発。七尾市、穴水町を経由して、22時間後の2日午後6時ごろ輪島市に到着した。

野路恭平警部補 熊本地震や西日本豪雨などで救助活動に尽力した
野路恭平警部補 熊本地震や西日本豪雨などで救助活動に尽力した
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野路警部補はこれまでにも、震度7を2度観測した2016年熊本地震や、200人以上の死者が出た2018年西日本豪雨などで救出活動にあたった。過去の大規模災害と比べて、能登半島地震の特徴は「多数の地割れ」にあると話す。

福井県警機動隊・野路恭平警部補:
今回は地割れがものすごく発生していて、車両も通行が制限される状況。自分たちが行ったときは中型車が通るのが困難な場所があったり、制限があった

「生きている可能性のある要救助者のために」

20人余りの部隊で輪島市内の倒壊家屋を捜索し、一軒一軒、救助者がいないか声掛けを続けた。3日が200軒、4日も100軒、倒壊家屋の中に人がないか確認して回った。一人でも多くの人を助けるため、愚直に行動する中、家の中から心肺停止の男性を発見した。「もっと早く到着していれば救助できたのではないか」という思いがわき上がった。

福井県警機動隊・野路恭平警部補:
悔しさ、歯がゆさを部隊員全員が感じていた。ものすごく断腸の思いだった。ただ目の前の事案だけにとらわれず、まだ生きている可能性のある要救助者のために任務をこなした

電気やガスといったライフラインが止まり、1月の寒さが被災者たちを一層、苦しめていた。生存率が著しく下がる「72時間の壁」も迫っていたが、度重なる大きな余震が救助を困難にした。

被災住民から「家族と連絡がとれない、家屋を捜索してほしい」などという切実な要望が現場で寄せられたが、人数や時間に限りがあり、「即座に対応することは難しかった」と悔しさをにじませた。

「警察・消防・自衛隊の総力戦」で実施している救助活動。4日午後6時に第一陣としての活動を終え、福井に帰った。その段階でも道路が多数寸断し、立ち入ることができない集落が数多くあったという。

私たちができる地震対策を聞くと、野路警部補は「普段からの備えが重要」と答えた。

野路警部補は「普段からの備えが重要」と話す
野路警部補は「普段からの備えが重要」と話す

福井県警機動隊・野路恭平警部補:
大規模な地震が発生するとライフラインが死んでしまう。よく言われていることだが、平素の備えが重要。食料の備蓄などがすごく重要であると感じます

(福井テレビ)

福井テレビ
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