まもなく迎える、おせちの季節。おせち食材を販売している都内の海産物店では、なぜか店主が謝り続けていた。また、おせち作りがピークを迎えている工場は、この数年、稼働時間が減少傾向にあるという。正月の風物詩に何が起きているのか――。

アフターコロナで“巣ごもり需要”落ち着く

取材班が向かったのは、おせち工場。工場では、おせち作りがピークを迎えていた。

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手作業で1つ1つ丁寧に盛り付けられるのは、子孫繁栄の縁起物とされる赤い宝石・イクラに、貝が末広がりであることから縁起がいいとされるホタテなど、今はまさに、おせち作りで大忙し、のはずだったが...。

グラン・グルメ 吉井一雅部長:
(食材を)詰める作業というのも、(1日で)2~3時間くらい減っている。

おせち作りにあたる工場の稼働時間は、2021年から減少傾向。要因の1つと考えられるのが、アフターコロナだ。

グラン・グルメ 吉井部長:
最近はコロナも緩和されましたので、(正月に)海外旅行とか外に出ることが多くなったので、そういうことも影響しているかと思います。

「イット!」が2年前に取材した際、この工場は、巣ごもり需要により8000個ものおせちを製造。2023年は、ようやく例年並みまで注文が落ち着いたという。

従業員:
早く帰って家族と過ごす時間が増えてると聞いているので、それはいいかなと。

店頭で謝りながら販売

そうした中、おせち食材を販売している都内の海産物店では、なぜか店主が謝り続けていた。

店主:
申し訳ないんですけどね。すみません。

店主:
値上がりぎみでね。申し訳ないですね。

なぜ、謝り続けているのか。

20種類以上のおせち食材を扱う「丸佐屋」。店主は、一番人気の酢ダコをはじめ、おせち食材の価格を2割ほど値上げしたことを謝りながら店頭に立ち続けていたのだ。

丸佐屋・岩崎英司店主:
卸の方も謝ってくるんですよ。「今年はごめんね」って謝ってくるので、それと同じ状態で。うちでも努力はしてるんですけど、(今年は)謝るような感じでお客さんに売ってる。

それでも、店主の人柄も相まってか、店には酢ダコを買い求める常連客が絶えなかった。

70代「(値段が上がっても買いたい?)お正月だけは、ないとだめかなと思うので」
40代「気にならないくらい、うまいですからね。(少し)値上げしたから何ですか? って感じです」

明るく迎えたいお正月。おせち商戦は佳境に入っている。
(「イット!」12月28日放送)