各分野で人手不足が叫ばれる中、注目が集まっている外国人労働者。宮崎県内の外国人労働者数は年々増加傾向で、産業別では「製造業」が最も多く約40%、次に「農業・林業」が約15%となっている。外国人労働者の活用が少しずつ進む中、農業の担い手を確保する画期的な取り組みが始まった。

夏と冬で仕事場を変えて労働力を確保

宮崎市にある「野崎ファーム」は、たくあんなどを製造・販売する野崎漬物の自社農場だ。農家の高齢化によって大根の生産者が減り、新規就農者もいないことから、2020年に自社で大根作りを始めた。

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「野崎ファーム」では外国人の人材が働いている。ミャンマー出身の3人は、即戦力となる人材に与えられる「特定技能」という在留資格を持っている。

ミャンマーからの労働者:
(大根の仕事は)楽しいです。畑で大根をあげる(抜く)から楽しいです

あっという間に作業を終えた3人だが、実は11月に初めて宮崎に来たばかり。10月まで長野県の川上村にいたという。

作業をするミャンマーから来た労働者
作業をするミャンマーから来た労働者

ミャンマーからの労働者:
(行き来するのは)大変じゃないです、大丈夫です

農業の担い手を確保する「産地間人財リレー」は、繁忙期が異なる2つの産地で交互に働いてもらうことで、効率よく労働力を確保する取り組みだ。夏場は長野や群馬でキャベツやレタスなどの栽培、冬場は宮崎でダイコンやキュウリなどの栽培に携わる。

野崎漬物・野崎(※崎は「たつさき」)​偉世社長:
どうしても夏場に宮崎でできる作物は限られているので、冬場だけというのがありがたい

繁忙期と閑散期がはっきりしている作物の栽培は、1年を通しての雇用が難しいため、外国人労働者の活用に踏み出しづらいことが課題だった。そこで各地の農業経営者団体と人材サービス会社ウイルテックが連携することで、今回の取り組みが実現した。

働き手と担い手の両者にメリット

農家はウイルテックにニーズを伝え、ウイルテックが人材の管理や言語サポート等を行う。移動費用や住居は雇い主の農家が用意するため、労働者の負担はない。このシステムを活用し、野崎漬物ではミャンマー人とベトナム人あわせて15人を受け入れている。

野崎(※崎は「たつさき」)​社長は「農業を常にやっている人が毎年来てくれるので、作業を覚えていて効率が上がる」と人手不足解消に加え、繁忙期の生産計画が立てやすくなったという。

また、外国人労働者にとっても、年間を通して安定した収入を得られるうえに、様々な作物の栽培を経験することでメリットがあるという。

ミャンマーからの労働者:
宮崎の畑は学ぶことがある。いろいろ見て勉強しています

県農業法人経営者協会・長友宏諭さん:
外国人を使うことに抵抗がある生産者もいるが、取り組みの中で教育をしっかりしながら、労働力が不足している農家に活用してもらい、農業経営につなげてほしい

外国人材のさらなる活躍で、食糧基地としての産地の維持にも期待がかかる。

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
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