近年、マイクロブタはペットとしての人気が高まっている。そんな中、宮崎県でペットとして飼っていたマイクロブタ2頭が逃げ出し警察に捕獲された後、殺処分された。一体なぜそんな事が起こってしまったのか。

拾得物扱い?ペットのブタが殺処分

マイクロブタは成長時の体重が40kg未満の小型のブタで、近年ペットとしての人気が高まっている。

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SNSにもマイクロブタの映像が投稿されており、その中には仲良く水浴びするマイクロブタの「チョモ」(メス)と「フジ」(オス)の姿が映っていた。

この2頭のブタは、飼い主の温水智久さんが2023年3月に購入し、経営するパン屋の敷地内に小屋を作って飼育していた。その後2頭は、温水さんの所有する宮崎・都城市内の住宅の倉庫に引っ越した。

温水さんは「この場所を障害者向けのグループホームにしたかった。ブタが障害のある方たちの癒やしになればいいなと思い、慣れさせるために連れてきてた」と話す。

しかし翌日様子を見に行くと、引き戸にしていたつっかえ棒が外れ、倉庫に2頭の姿はなかった。温水さんは付近を探し、警察に連絡。ただ、この時、2頭はすでに都城家畜保健衛生所で殺処分されていた。

温水さんは「私の戸締りでブタが外に出ていったというのは本当に私の責任だと思っている」と話す一方、「あまりにも処分が早すぎる」と警察官の判断に疑問を持っている様子だった。

今回警察は個別の事案には答えられないとしているが、一般的に捕獲されたり、届けられた動物は、飼い主がわからない場合、犬やネコは保健所に、それ以外の動物は拾得物(落とし物)として扱われる。拾得物は遺失物法で原則3カ月間保管することと定められているが、警察署長の判断で売却や処分が可能な場合がある。理由は、警察で生き物を保管する難しさにある。

警察署で生き物を管理する難しさ 

宮崎県警本部・会計課の花房哲さんに警察署の中で管理する難しさについて聞いてみたところ「専門的な知識もないし、何を食べさせていいのかわからないところもある。保管するのに適切な施設も無いところは警察も苦悩しているところ。餌の費用も考えないといけない」と回答した。

では専門家の意見はどうだろうか。警察での生き物の管理について宮崎大学獣医学科の末吉益雄教授は「拾得物の中で生き物を警察以外どこが預かってくれるのか、今の段階では細かく決まってない。適切に施設が整っていないのでそこは揃えていかないと、今後「命」の不要な処分が増えていく可能性がある。生命あるものを拾得物として法律で扱うことも見直す必要があるのではないかと思います」と話す。

警察では、処分の判断の際「防疫」の観点から判断することもあるという。宮崎県警本部・会計課の花房さんは「警察が管理している動物の中からいろんな伝染病が発生してもいけない、専門的な機関に聞きながらどう処理するのが適切なのか考えていく」と話した。

ペットの命を守るためにできること

2頭が殺処分されたのが9月6日。この8日前、佐賀県で豚熱が発生していた。ただ2頭は耳にマイクロチップを埋めていたが、今回警察はマイクロチップの確認はしていなかったという。温水さんは警察に「ペットではないか?」という視点があれば対応は違ったのではと話す。

飼い主の温水智久さん:
今、日本でも多様な動物を飼うようになってきた。だからこそ耳にマイクロチップを埋めていたのでそこを理解してほしいと思います

宮崎大学獣医学科・末吉益雄教授は「だれがどこで何を何頭、何匹飼っているか、各市役所・役場でいち早く誰の所有物かすぐにわかるようにすればこういう問題もすぐに解決できるのではと思う。ペットの命を守るためでもあり、飼い主の心、ペットロスを守ることにもつながる」と話した。

(テレビ宮崎)

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