「ギョーザの街」として知られる宮崎市。そんな宮崎市が新たに「まんじゅう購入頻度日本一」を達成した。日本一になった背景には何があるのだろうか?
甘いものが好きだから?暑いから?
総務省の家計調査で2022年1年間の100世帯当たりのまんじゅう購入頻度が日本一になった宮崎市。
この記事の画像(11枚)しかし街の人に話を聞くと、その理由に心当たりがない様子…。
女性:
この前ニュースで見ました。まんじゅうは結構好きで食べます。どうしてかな…甘いものが好きな人が多いんですかね?ちょっと分からないです。
男性:
よく分かんないです。お年寄りが多くて食べるから?
高齢女性:
宮崎は暑いから、私は暑くて体が疲れたときに甘いものがほしくなる。でもわかりません。
宮崎菓子協会の上野会長も「全国にいっぱいお菓子屋さんもある中で宮崎が日本一になったのはびっくりしています。分からない部分もあります」と語る。
地元の菓子協会も把握できていないまんじゅうの購入頻度日本一。今回は宮崎大学地域資源創成学部の土屋有准教授とマーケティングの視点から日本一になった理由を分析していく。
マーケティングのプロによると…
いろいろな論文などを調べたところ、2つのポイントが浮かび上がった。
まず一つ目は「年代別の支出額」。
宮崎大学地域資源創成学部准教授・土屋有さん:
宮崎は高齢者の数が多いんです。グラフを見ると、50代から購入する人が増えています。これがヒントになるのではないかと思います。
続いては、まんじゅうを「購入する場所」。
宮崎大学地域資源創成学部准教授・土屋有さん:
実は宮崎は全国的に見ても、和菓子を作る事業所の数が少ないんです。「生菓子製造業の事業所数」で見ると、宮崎県は45位と非常に少ないことが分かります。ということは、どこで買っているのか購入場所が重要なヒントになるわけです。
そこで土屋さんが注目したのが市内にあるコンビニやスーパーだ。
年金支給時期に限りセール!?
まずは県内に127店舗を展開するファミリーマート。こちらではまんじゅうなど和菓子について、ある販売戦略があった。
南九州ファミリーマート・黒木貴博さん:
年金の支給月、支給週の1週間に限ってセールをしています。
南九州ファミリーマートでは、この割引キャンペーン期間にまんじゅうを含めた和菓子のラインアップを強化。10年前から続けていて年金支給などで店舗のATMを利用する世代が和菓子を購入している可能性があるということだそう。
南九州ファミリーマート・黒木貴博さん:
和菓子をコンビニで買う方が50代・60代・70代がメインになっている。今年でいうと、2022年より3割、130%ほど上昇しています。
続いて、県内に30店舗を展開するエーコープみやざき。土屋さんと一緒に調査してきた。
宮崎大学地域資源創成学部准教授・土屋有さん:
実は、スーパーにとってレジ前はとても重要な場所で「ついで買い」をしてしまうところなので、お店にとっては重要なスポットですね。
エーコープみやざき・井之上晋也さん:
お店のレイアウトは基本的に統一された売り場ではあるんですけど、4~5年前からこういった売り場づくりをしていて、最初は1店舗から始まって売れ行きが好調だったのでどんどん広がっているところです。
メーカーからの提案で始めたというレジ前の和菓子売り場。販売戦略はこれだけではない。
エーコープみやざき・井之上晋也さん:
和菓子の売り場だけではなく、生産者コーナーに地元和菓子店の商品を置いています。
宮崎大学地域資源創成学部准教授・土屋有さん:
1カ所にまとめた方がお店の管理的に効率的だと思うんですが、複数に分けた理由は何かあるんですか?
エーコープみやざき・井之上晋也さん:
お客さんの目に触れる機会が増えるので、購入される機会が増えるのかなと思っております。
宮崎大学地域資源創成学部准教授・土屋有さん:
頻度アップのポイントがここにもありますね。
エーコープには地元の菓子店も商品を卸している。
地元和菓子店:
幅広い方にお店の菓子を食べてもらいたいということで、最近は若い男性・女性、幅広い方が和菓子を購入されるようになってそれも日本一になった要因じゃないかなと思います。
宮崎大学地域資源創成学部准教授・土屋有さん:
宮崎市は人口がかなり多い方で、かつ、高齢者の数も多いので、この方々が手に取りやすい金額でどこで生活の中での頻度を増やそうか、和菓子と出合う頻度を増やそうかというのは、売る側がものすごく努力されていることが今回の購入頻度日本一という結果につながったのではないかと思います。
取材をしていくと、コンビニでも今後、地元の和菓子店について知っていきたい、一緒に何かをしていきたいと話している。コンビニと和菓子店は一見、ライバルのように思うが一緒になって盛り上げていこう、販売していこうという思いが見えてきた。
2023年度の購入頻度はどうなのか、最新のデータ(2023年1月~8月)を見ると、宮崎市は現時点で4位。購入頻度日本一を目指して、みんなで盛り上げていきたい。
(テレビ宮崎)