5月に新型コロナが5類に移行された2023年だが、観光需要はどう変わったのか、熊本県経済を振り返る。

「5類」移行で外国人観光客増

2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行され、熊本県内でも観光業が盛況だった。平日にもかかわらず、多くの観光客でにぎわう熊本城近くの「桜の馬場・城彩苑」では、コロナ禍でほとんど見られなかった外国人の姿も見られた。

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熊本城 桜の馬場リテール・米納弘康常務執行役員:
日を追うごとにどんどん観光客が戻ってきているという感じだった。インバウンドに関してはずっと右肩上がりで来ているので、特にアジア圏、今は台湾からは全体の(インバウンドの)7割を占める

政府の新型コロナの水際措置が終了したゴールデンウイーク明けから、熊本を訪れる外国人旅行客が急激に増えたという。

新型コロナの5類移行のほか、熊本と台湾や香港を結ぶ定期便の就航、11月に33年ぶりの水準になった円安がさらに追い風となっている。

円安効果で「インバウンド消費」に弾み

円安は物価高の要因の一つでもあるが、「インバウンド消費」に弾みをつけている。

台湾や香港から来た人は「買うのがお得な感じがする何を買っても台湾より安いし」や「香港から来た。ことし7回目の来日で円安だから、来日はお得な感じ」と話した。

熊本城 桜の馬場リテール・米納弘康常務執行役員:
インバウンドに関しては、アジアだけでなく欧米もだんだん増えてくると思う。円安の影響が大きくて、食事やお土産を買うにも向こう側からしたら、かなり安く見えるということで単価が上がってきている。かなりの追い風になっている

「桜の馬場城彩苑」では2023年、2011年のオープン以来、最高収益になる勢いだ。

期待寄せるも人手不足が課題

熊本市中央区のANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイでもインバウンド需要が戻り、今では約3割を外国人旅行客が占めているという。

ANAクラウンプラザホテル 熊本ニュースカイ・山野壮宿泊予約マネージャー:
台湾がシェアとして圧倒的に一番多い。次いで香港。マーケットの需要は去年冬ごろから始まって、今年4月ごろに本格的に動き出し、現在は2019年を超える勢いで復調している

海外からはツアーだけでなく個人客も順調に延びていて、2024年はさらに期待を寄せる。

ANAクラウンプラザホテル 熊本ニュースカイ・山野壮宿泊予約マネージャー:
コロナ禍で需要もかなり落ち着いてしまっていたので、復活という流れは非常にうれしく思っている

帝国データバンク熊本支店の赤嶺支店長は、「観光についてはインバウンド効果がかなり現れ始めている」と話す。

帝国データバンク熊本支店・赤嶺太地支店長:
宿泊旅館・ホテル関係は、アンケートでは全国の60%以上の企業が今期は増収を予想している。今年に関しては、既にもう4兆9,000億円の見通しというところで、過去最高だった2019年に迫る勢い

インバウンドが増加する一方、人手不足で宿泊や予約の制限をしながら対応する宿泊施設なども多くある。

帝国データバンクによると、2023年7月の調査で「正社員が不足している」と回答した九州の企業は約57%と、3年連続で上昇している。人手不足の解消には「賃上げ」が挙げられるが、熊本県内に多い中小企業にとっては賃上げしたくてもできないのが現状だ。

2024年はTSMCがプラス要因 今年以上

そして気になる2024年の県内経済だが、やはり影響が大きいのは2024年12月に生産を開始する台湾の半導体製造大手「TSMC」のようだ。関連する企業の進出や人の往来が、2023年以上に活発化すると予想されている。

帝国データバンク熊本支店・赤嶺太地支店長:
プラスの要因はやはりTSMC。建設会社や周辺地区の不動産の値上がり。それにともなって宿泊・飲食系などの需要もますます拡大していくんじゃないか

アフターコロナで徐々に経済活動が戻ってきたこの一年だが、2024年はさらなる動きがみられそうだ。

(テレビ熊本)

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