自民党安倍派(「清和政策研究会」)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化していた疑惑に関し、河野太郎デジタル相は10日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜午前7時30分)で、「領収書をつけてきちんと報告できなければ、個人の雑所得ということになるかもしれない」と述べ、「裏金」の使途によっては所得税法違反に問われる可能性に言及した。

河野氏は「政治資金はきちんと記載をするのがルールだから、記載をしていないのは法律に違反することでなかなか申し開きはできない。きちんと膿(うみ)を出し切ることが大事だ」と強調した。

派閥を解散するべきかについて、河野氏は「では、党内をどうとりまとめていくのか。自民党のガバナンスをどうしていくかを一回きちんと考えるということかもしれない」と話した。

番組コメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は「裏金を組織的に作っていたということであれば、いわゆる『反社会勢力団体』と一緒だ。これから増税だ、負担(増)だと安倍派の人たちに言われても国民は「従えないよ」となる。疑惑が認定されれば、安倍派の解散は当然だ」と主張した。

以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
自民党安倍派の幹部6人に裏金疑惑が出ている。派閥の事務総長も務めた松野博一官房長官には5年間で1000万円を超える環流があったのではないかとの疑惑がある。

いま安倍派に激震が走っている状況だ。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
自民党の派閥政治には批判があるが、何百人の政治家をまとめて意思決定するにはグループ化は必要だ。河野さんが所属する麻生派は、記載は大丈夫なのか。

河野太郎氏(デジタル相):
特に問題はないと聞いている。

橋下氏:
記載をきちんとしている派閥と、そうでない派閥は分けなければいけない。安倍派のように政治資金について記載をせず、もし裏金を組織的に作っていたということなら、「反社会勢力団体」と一緒なのではないか。旧統一教会やビッグモーターのケース以上の悪質性があると思う。裏金が認定された場合は、当然解散しなければ、国民としては、これから増税だとか負担(増)だとか、安倍派の人たちに言われても「そんなの従えないよ」となる。疑惑が認定されれば、安倍派が解散するのは当然だ。

松山キャスター:
なぜ安倍派だけがキックバックが記載されないという問題が起きているのか。

河野氏:
安倍派に所属したことがないので、そこはわからない。政治資金はきちんと記載するのがルールだから、記載をしてないというのは法律に違反することでなかなか申し開きもできない。きちんと膿を出し切ることが大事だ。国民の政治不信が高まる中で、ルールに基づいて政治資金を取り扱うのは最低限のことで、まずこれをしっかり確認するということだと。

橋下氏:
これは政治資金の単なる記載ミスの問題ではない。政治家が集めた金は非課税だ。これはもう決定的に国民と違う。なぜ非課税か。ちゃんと政治に使うという前提で非課税になっている。領収書がないのも政治家の独特の世界で、政治に使ったのかどうか分からないとなれば、本来税金をかけなければいけない。裏金というのは単なる記載ミスではなく、場合によっては脱税の話だということを政治家にはしっかり認識してもらわなければいけない。

松山キャスター:
岸田首相が松野官房長官の交代を視野に検討に入ったという報道がされている。安倍派の閣僚の西村康稔経産相も疑惑が持たれている。規模はわからないが、国会会期末前後で内閣改造が行われるのではないかと言う人もいる。安倍派所属の人を外すということになると、そこそこの規模の改造になるのではないかとの見方もある。松野官房長官が仮に交代する場合、いま閣内にいる河野さんが火中の栗を拾うつもりで、打診されたら受ける考えはあるか。

河野氏:
いやいや、それは総理がお決めになることだ。
            
松山キャスター:
疑惑が出ている中で国会会期末に野党が内閣不信任決議案を出してきた場合、衆議院解散の大義になると思うか。

河野氏:
内閣不信任案が可決されれば、総辞職をするか解散をすることになっている。不信任案が可決される状況かどうかというところなんだと思う。

橋下氏:
何百人の政治家をまとめるのに一人一人に合意を取るのは不可能に近い。グループを作り、グループの長がまとめるのが意思決定のやり方としては現実的だ。そのグループを派閥というのなら、僕は派閥自体を全否定しない。ただ、裏金(つくり)などということをやっていたのなら、「反社会団体」と変わらない。疑惑が認定された場合は、安倍派は即刻解散だ。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
金が政治活動以外に使われていた場合ということか。

橋下氏:
政治家が金を政治活動に使っていたのか、そうでないのかは政治家側が立証すべき話だ。僕は河野さんと以前この番組で旧文通費(=旧文書通信交通滞在費。現在の調査研究広報滞在費)について議論した。旧文通費は(議員1人あたり)年間1200万円、領収書抜きで使える。民間ではありえない。こういうことを政治家がやっているから、領収書を出さなくてもいいのだと、政治活動に使っているということを証明しなくてもいいんだということになって、結局こういう裏金問題になる。旧文通費は今回の問題を含めて政治家が襟を正さなければいけない根幹だ。

河野氏:
政治資金を記載し、領収書をつけて報告するというルールになっている。今回、記載されていなかったものがあるのであれば、それはどうなったのか。領収書をつけてきちんと報告ができなければ、それは金額が決まれば個人の所得ということになるのかもしれない。それは雑所得ということになるのかもしれない。まず、今のこの問題をきちんと解明して膿を出し切ってきちんとやるべきことをやるということだ。旧文通費については、国会で議論することになっている。閣僚の立場で何かものを言うと、また国会で叱られるから言わないが、金がどのように使われているかについて、政治家は国民から疑念をもたれないようにすることは大事なことだ。

松山キャスター:
視聴者投票の結果、「派閥を解散すべきだ」という回答が8割近くに上っている。

河野氏:
今回の問題の発端が派閥のパーティーだからということで、派閥はいかがなものかという議論になっているのだと思う。ただ、橋下さんが言ったように、では、党内をどう取りまとめるのか。党内には派閥だけでなく、いろんな集まりがある。その集まりと派閥と何が違うかというと、派閥(の役目)は政治資金(集め)と人事だから、自民党のガバナンスをどうしていくのかを一回きちんと考えるということかもしれない。

橋下氏:
今の政治不信を払拭するための起死回生策こそデジタル庁だと思う。政治家の金の使い道にこれだけ不透明感があり、みんなが信用していない。国民が不信感を抱いている。全部透明化するにはやはりデジタルだ。金を使う度に領収書をつけるのは負担になるとか、そういうことをいう議員がいっぱいいる。アプリなのかシステムなのかわからないが、政治家が金を使った時に簡単にそれを記録できて、領収書も添付できるようなデジタル化をやる、自分たちからすべてを透明化するためにデジタル化をやるということを、デジタル庁から発信、提案できないか。

河野氏:
デジタル庁なのかどうかは別として、しっかりとデータを出すのは大事だ。前から言われているが、政治団体がいくつもあって、どの団体がどの政治家に紐付いているのか、いちいち調べないとわからない。デジタル化する前にまず、例えば、政治家、河野太郎の政治資金管理団体、政党支部、これはこれですよということがはっきりして、誰が見てもそれがわかる、きちんと情報が公開されていることが大事だ。デジタルでデータを公開すれば、AI(人工知能)で金の流れがこうなってるよねと、チャットGPTで図表化されたものが出てくるだろうし、そういう技術を使うのはあると思う。それをデジタル庁がやるのか、あるいは、すでにそのAI技術は世の中にあるから、そういうのが得意な人が作ってそこにデジタルのデータを入れれば、図表化して出てくるということに多分なる。もう今の技術でできるのではないか。

橋下氏:
実際、政治家が政治資金報告書をオンラインで提出するのは数パーセントにとどまっているようだ。僕も収支報告書を出していたが、ものすごく煩雑だ。こういうことで勧告権を使いながら総務省をきちんと指導していくのがデジタル庁だろう。報告書をオンライン化し、デジタル化して集計し、透明化するというこの大きな課題を解決するのはデジタル庁しかない。ここはぜひ旗を振ってもらいたい。

松山キャスター:
9日に自民党の茂木敏充幹事長が政治資金パーティーをめぐる問題への改善策として透明化を高める措置を党としてとると言った。各派閥に任せず、党として資金の流れをクリアにしていくことは本当に可能なのか。どういう方策が取れるのか。
            
河野氏:
一つは党としてきちんとルールを作るということかもしれない。それから、いまオンラインで報告するシステムはあるが、個人から政治献金をもらうと税額控除の証明書を出すのに、(選管の)窓口まで取りに行かないといけない。そこがオンラインにならないから結局紙で出してもオンラインで出しても同じだということになる。そこまで含めてデジタル化する(必要がある)。それから政治資金報告書の様式がもう少し簡単に書けて明確に分かるようなオンラインの仕組みにするのはありだと思う。当初作った時には、面倒くさいシステムで、こんなのいちいちやるのだったら紙の方が楽だと言われていたが、少しずつ良くなっては来た。最後はその紙の証明書を窓口まで取りに行くというところもオンライン化できるように、マイナポータルとイータックスを連動して確定申告も自動記入ができるようになれば、それはむしろオンラインでやれば、マイナポータルに自動記入で入ると言うなら、それは政治家にオンラインで申請しろという圧力がかる。そこは、デジタル庁と国税庁で考えていかないといけないかもしれない。

橋下氏:
国民は国税庁が目を光らせるからきちんと納税する。政治家の場合は、総務省は中身をチェックしない。報告書を公開するところまでで終わりだ。それはなぜかと言えば、報告書をオープンにすることで国民が監視してくださいねということなのだが、いまは国民が監視できるような仕組みになっていない。新聞が報じていたが、贈答品で9200万円ぐらいどうも使っているとか、これも紙の報告書を全部集めて画像解析してAIで分析したという。デジタルで解析できるようにぜひしてもらいたい。

松山キャスター:
一連の政治資金の疑惑を受けて、岸田首相は在任中自らの派閥から離れることを発表した。あわせて派閥の政治資金パーティーの開催や、年末年始の派閥の行事について自粛するよう指示した。一連の岸田首相の対応をどう見ているか。

河野氏:
これまでも総理になった人は派閥の会長だけでなく、派閥そのものから離脱してきた。政治資金問題がこうなっている以上、ちゃんとしたルールを作る、今までのことを透明化するまで原因となった派閥のパーティーを自粛するのは当然だ。

松山キャスター:
岸田首相が派閥を離れる決断をしたタイミングは遅いのではないかとの指摘が党内からも出ている。

河野氏:
そこは様々岸田首相の判断があったのだと思う。

松山キャスター:
派閥のパーティーは自粛ということだが、疑惑を受けて各議員個人の政治資金パーティーにも厳しい目が向けられていると思うが。河野さんは自身のパーティーについてはどういう対応を取るか。

河野氏:
派閥のパーティーで一定額を超えた分を戻すこと自体は問題ではなく、それがきちんと記載されていれば何の問題もなかった。その記載がなかったことについて何があったのか(を明らかにする)ということと、ルールを明確にするという必要がある。個人のパーティーについてはおそらくきちんと収入支出報告がされている。当然のことだ。当たり前のことをルールに従ってきちんとやるということだ。

日曜報道THE PRIME
日曜報道THE PRIME

今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論!「当事者の考え」が分かる!数々のコトバが「議論」を生み出す!特に「医療」「経済」「外交・安全保障」を番組「主要3テーマ」に据え、当事者との「議論」を通じて、日本の今を変えていく。
フジテレビ報道局が制作する日曜朝のニュース番組。毎週・日曜日あさ7時30分より放送中。今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論。