今シーズン、トップチームに昇格したロアッソ熊本の道脇豊選手(17)。夏に鎖骨を折るけがで試合から遠ざかった日もあったが、2023年11月には17歳以下の日本代表としてワールドカップに臨んだ。大会で感じた世界との差、そして来シーズンに向けての思いを聞いた。
天皇杯準々決勝で全治8週間の骨折
道脇豊選手(17)は、東海大星翔高校に通う現役の高校生でありながら、J2・ロアッソ熊本でプレーするJリーガーでもある。

身長186cmの長身ストライカーは、天皇杯3回戦でプロ初得点をマーク。それも同点と逆転ゴールを収め、チームを勝利に導いた期待の若手だ。しかし8月30日の準々決勝。試合途中から出場機会を得るものの…延長後半終了間際、相手選手との競り合いで体勢を崩し、右鎖骨を骨折、治療期間8週間と診断された。
ロアッソ熊本 道脇豊選手:
絶対に自分は抜かれないぞという気持ちで行っていたので、それが自分をコントロールできずに行ってしまった…。もちろん痛かったですし、実際にポキッという骨の音も聞こえていたので「これもう骨折したな」と思ってピッチを出ました
チームは勝利を収め、初の準決勝進出を決めたが、歓喜の輪の中に道脇選手はいなかった。
代表入り諦めず自身奮い立たせる

次に私たちのカメラの前に姿を現したのは、9月22日。骨折翌日に手術し、1カ月がたとうとしていたころだった。

全体練習に加わることはできず別メニュー。それでも、あることを目標に自身を奮い立たせていた。それが、17歳以下の世界一を決めるU-17ワールドカップだ。

15歳から日本代表候補として世界の舞台を目指してきた道脇選手は、鎖骨を折りながらも代表メンバー入りを諦めてはいなかった。

ロアッソ熊本 道脇豊選手:
試合に出られないもどかしさであったり、焦りとかももちろんあるけれど、今は自分のけがと向き合って。W杯までにサッカーができる状態じゃなくて、自分の最高のパフォーマンスが出せるようにW杯までの期間、準備していきたい
「世界との差を感じたのが収穫」

そして10月下旬、全体練習にようやく参加できるようになったころ、代表メンバーに選ばれ、迎えた11月のワールドカップ。道脇選手は初戦のポーランド戦で途中出場すると、先制点をアシストした。

ロアッソ熊本 道脇豊選手:
本当はターンして自分で打ちたかったけど、ボールがボールだったのでパスをした。あれが決まり、1 - 0だったからうれしかったけど、やっぱり欲を言えば、自分の得点で勝ちたかった
アジア王者として大会に臨んだ日本だが、決勝トーナメント1回戦で敗退。道脇選手は4試合全てに出場したものの、求めていた「得点」という結果を出すことはできず、世界との差を痛感したと悔しさをにじませた。
ロアッソ熊本 道脇豊選手:
フィジカル面、サッカーの技術面で自分よりもスキルが上の選手ばかりだったので、このままだったらダメだと思った。自分の良さも全然出すことができなかったので、悔しさや世界との差を感じたのが収穫
「旅は続く」森山監督も選手にエール
若き日本代表を率いた熊本県立第二高校出身の森山佳郎監督は、次世代を担う選手たちに次のようにエールを送る。
U-17日本代表 森山佳郎監督:
彼らの悔しいワールドカップの旅は終わったが、ここからアンダー20W杯、オリンピック、A代表と旅は続くから。このリベンジはワールドカップやオリンピックでしかできないと思うから、本当に頑張ってほしい
「将来は日本代表・A代表に名を連ねたい」と話す道脇選手だが、まずは目の前の目標から。

ロアッソ熊本 道脇豊選手:
今年よりももっともっと試合に出て得点をすることが自分がチームでプレーする意味だと思う。結果を出していきたい。
成長を誓う17歳の若きフットボーラーに、2024年も注目だ。
(テレビ熊本)