電気代がかからない家に住めたら理想だ。屋根の太陽光パネルで発電し、さらに断熱性を高める工夫でエネルギー消費量を実質ゼロにする。災害で停電してもスマートフォンなどの充電ができる。そんな「エネルギー消費量ゼロ」の住宅や会社が注目を集めている。

「省エネ」と「創エネ」でコスト削減

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浜松市中区にある「東海つり具」。以前の本社兼店舗は老朽化が進み、2022年に建て替えた。
会社が選んだのは「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」、いわゆる「ZEB(ゼブ)」だ。
これは使用する電気やガスを節約しながら発電することで、エネルギーの消費量を実質ゼロにすることを目指す建築物のことだ。

東海つり具の新本社は屋根に太陽光パネルをたくさん積んでいて、電力の大半を太陽光で発電している。
安田弘正社長は「電気代をかなり抑えることができる。断熱効果もあると思うが、(エアコンの)設定温度を下げすぎなくても涼しい環境が維持できているので、非常に助かっている。前の建物と比べると段違いで、かなりコストダウンできている」と話す。

エネルギー消費量を75%以上削減
エネルギー消費量を75%以上削減

断熱性が高い窓や壁によってエアコンの効果を引き出した上で太陽光発電をおこなっていて、電気の使用量を抑えることができている。この建物では必要なエネルギーのうち75%以上をこうした「省エネ」と「創エネ」で削減しているという。

「釣り」のイメージアップにも期待

東海つり具の店内
東海つり具の店内

また、事業としている釣りは自然環境があってこそ楽しめるもので、会社として「環境への配慮を建物から実践したい」との思いがあった。

東海つり具・安田社長
東海つり具・安田社長

東海つり具・安田弘正社長:
(釣りが)環境に対して悪いイメージを持たれやすいので、自然とうまく共存できる店舗を作りたかった。釣りも自然と共存した遊びであり続けて、できれば子供たちが楽しめる環境も残していきたい

「電気代を抑えたい」

清水さんの住宅
清水さんの住宅

一方、袋井市の清水秀世さん一家が住む家は、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」、通称「ZEH(ゼッチ)」だ。
ZEBと同じように「エネルギーの消費量ゼロ」を目指す住宅のことで、清水さんは「電気代を抑えたい」という思いから、この家の導入を決めた。

断熱性の高い窓を採用
断熱性の高い窓を採用

清水さんは「今までのアパートは電気代がかさみ、湿度なども気になった。快適で電気代がかからないような家に住みたいと思い、いろいろ探して建てた」と、この家を選んだ理由を明かす。

清水さんの住宅
清水さんの住宅

清水さんの家は断熱効果と発電などで、必要なエネルギーを100% 実質的に削減している。
猛暑の今年はエアコンは夏の暑い時に少し稼働させたが、一日中 稼働させることはほとんどなかった。1階と2階が吹き抜けになっていて、1階リビングのエアコンだけで全てが涼しく快適に過ごせたという。

災害で停電しても安心

発電した電力を販売
発電した電力を販売

発電した電力は電力会社に売っているが、災害時などには自分たちでも使うことができるため、安心感にもつながっている。

災害時はスマホの充電が可能
災害時はスマホの充電が可能

清水秀世さん:
(災害時に)スマートフォンの充電をして情報を仕入れたりできるし、灯りをとることもできるので、災害時のことを考えても安心して過ごせる家だと思う。避難所ではなく、(災害発生後も)引き続き自分の家で過ごすことができるので とてもいいかな

清水さん宅の太陽光発電パネル
清水さん宅の太陽光発電パネル

この家を建てた住宅メーカー「福工房」の殿村祐美子 常務執行役員は、「住宅業界は環境に対する影響が大きい分野だと思っている。ZEHが普及することで、光熱費を抑えながら快適に進むことができるような住環境を提供していきたい」と、住む人の快適さはもちろん、環境問題への好影響に力を込める。

エネルギー消費量ゼロの会社や住宅
エネルギー消費量ゼロの会社や住宅

国や県は補助金を出して、こうしたエネルギーの消費量ゼロを目指す建物の普及を進めている。会社にとっても住宅にとってもメリットがあり、今後 建築の新たな選択肢として注目されそうだ。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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