毎年 友達との触れ合いが楽しみな文化祭。華やかに飾り付けるが、後かたづけでは大量のごみがでる。リサイクルできないかと、生徒たちが取り組んだ。準備の段階から素材を選んで使い、製紙会社の協力を得てごみはトイレットペーパーに生まれ変わった。
華やかな祭りの後に残るもの
この記事の画像(13枚)静岡市清水区折戸にある東海大学付属静岡翔洋高等学校・中等部で、2023年10月 2日間にわたって文化祭「建学祭」が開かれた。友達とダンスを見たり、ふだん食べないものを食べたりと生徒たちは楽しんだようだ。
クラスや部活動などの仲間たちと作り上げる文化祭だが、以前から課題となっていたことがある。
それは大量に出るごみだ。模擬店のコップや皿、展示での装飾など、文化祭が終わると大量のごみを処分しなければならない。
東海大付属静岡翔洋高校の小曽根龍介先生も「文化祭は華々しく装飾するが、終わればごみになってしまう。量もかなり多く、生徒も教員もどうにかできないかなと思っていた」と明かす。
ごみ袋の色や装飾の素材を工夫
毎年 問題となっていた文化祭のごみを、生徒会が再利用しようと考えた。
ごみの分別をしやすいようにと、ごみ袋の色をわけることにした。青色は紙ごみ、黄色は缶やビン、透明の袋は燃えるごみだ。
文化祭で使う素材にも気をつかう。準備の段階からできる限りプラスチックを使わず、紙を使うようにした。そして、分別された青い袋の紙ごみを、製紙会社の協力でトイレットペーパーに再生する。
生徒会長(高校)・納本 稜太さん:
基本的に装飾のために使うものは紙製品の物を使ってもらうようにして、最終的にはリサイクルにつなげていけるような素材を選んでいます
装飾はビニールなどではなく、できる限り紙を使用していた。生徒も「リサイクルできるためにビニールではなく、紙を中心に使うようにしています」と生徒会の趣旨に賛同する。
トラック2台分 の紙ごみが変身
文化祭は2日間行われ、在校生や来場者2000人以上が楽しんだ。
装飾がはがされ、書道パフォーマンスで使用した和紙もたたまれて再利用される。生徒会が分別作業を進め、トラック2台分 150~200kgの紙ごみが集まった。
紙ごみは富士市の製紙会社「コアレックス信栄」に運ばれる。
佐野仁 専務によると、古紙100%のトイレットペーパーを作る場合にはコピー用紙や牛乳パックのような上質な古紙を使うのが一般的だが、この工場では、雑紙と呼ばれる、可燃ごみに含まれている紙ごみを中心に原料として使い製品を作っているそうだ。
一般的に文化祭のごみなどをリサイクルするのは難しく、焼却されてしまうことが多いという。しかし、この製紙会社では異物を除去しやすくさせる独自の方法を確立していて、様々な紙ごみのリサイクルをおこなっている。文化祭のごみはトイレットペーパーへと生まれ変わる。
“紙のリサイクルの未来” 若者に期待
佐野専務は「トイレットペーパーは二度と再生できない紙なので、(紙の)最終製品として、トイレットペーパーは再生紙のものを使ってほしい」と話す。
コアレックス信栄・佐野仁 専務:
“紙のリサイクルの未来”は若い人たちがこれから支えてくれると思うので、若い人のこのような活動は非常にありがたく感じています
ごみを減らし再利用する文化祭での取り組み。中学校・高校時代のこうした経験が、将来にわたってごみを減らし地球の環境を守っていくことにつながるはずだ。
(テレビ静岡)