運転中にシカが飛び出してヒヤッとした経験はないだろうか。
シカによる事故や食害を防ぎ、撃退するための新商品が開発されている。
果たしてその効果は。
「超激臭」で厄介者のシカを撃退
この記事の画像(7枚)餌に近づく1頭のシカ。しかし、臭いに驚き逃げていった。
強烈な臭いの正体は「強臭力」という商品。
開発したのは、根室市の吉田水産だ。
担当者の辻宰さんに話を聞いた。
「シカに効く原因は、強い臭い。分析した結果、硫化水素等の硫黄化合物を主とした強烈な臭いを計れる機械のキャパシティを超え、計測不可能という数値になった」(吉田水産 辻宰さん)
強烈な臭いを発する「強臭力」。さらに驚くのはこの商品の原料だ。
原料は”ミネラル水とヒトデ”
「(Q:中身の詳細は?)ミネラル水とヒトデだけ。根室市近郊でとれた天然ヒトデを生きたまま加工した、害獣忌避剤だ」(吉田水産 辻 宰さん)
原料は、漁師の天敵である「ヒトデ」。
地元ではホタテガイの漁でどうしても一緒に取れてしまうというヒトデ。
このヒトデの濃縮液から出る強烈なアンモニア臭でシカを撃退しようと考えたのだ。
北海道内ではシカが原因とみられる交通事故が4480件発生していて、10月と11月に集中している。
2021年度のシカの食害による農林業の被害額も44億円を超えている。
いつ遭遇するかわからないシカの事故や食害。
「強臭力」の期待が高まっている。
「(Q:他の動物にも効く?)シカより鼻が利く動物であればすべて聞くと思う」(吉田水産 辻 宰さん)
シカのほかにも北海道民を悩ませる動物ヒグマ。
2023年はクマの目撃が3720件と過去最多。果たして効果はあるのか?
クマにも効果が期待できそう
「クマは臭覚を一番に頼って生きている動物なので、おそらく効果があるのでは」(吉田水産 辻宰さん)
強臭力を使うことで、動物の生息域と人の生活圏を分ける、共生の未来が描けるかもしれない。
担当者の辻さんは、強臭力の開発に苦労したという。
「製造に携わっているが、自分の臭覚がゼロになってしまった。治してしまうとその香りを嗅いで仕事しなければいけないので、病院に行かずそのままにしている」(吉田水産 辻 宰さん)
厄介者のシカ撃退に期待が高まる「強臭力」。
北海道民の救世主となるのだろうか。