自民党の浅尾慶一郎政調会長代理と国民民主党の玉木雄一郎代表が3日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演。

自民党最大派閥、安倍派のパーティー券収入をめぐる1億円超の“裏金疑惑”について激論を交わした。

玉木氏は「組織的に裏金を捻出していたのであれば非常に問題」と指摘。「政治とカネ」の問題について、納税者の納得を得るためにも「法改正も含めて全て明らかにしていくような方向にしないといけない」と述べた。
一方、麻生派に所属する浅尾氏は、安倍派の裏金疑惑について、「本当のところはわからない」としつつ、「国民が納得できる説明をすることが十分必要になってくる」と危機感を示した。
また、番組コメンテーターの橋下徹氏は、「同じことを民間がやったら国税庁から大変なペナルティーを食らうことになる」と指摘。「領収書を出さなくてもいいお金があまりにも多すぎるということが、国会議員の中で染み付いてるからだ」と批判した。

以下、番組での主なやり取り。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
玉木氏に聞く。そもそもこの「パーティー券収入」というのは(収支報告書に)記載さえすれば問題がないもの。そして、そもそも税金もかからないということだが、であればなぜ表に出ないこれだけのお金が必要になるのか。政治の世界はそういうものなのか。

玉木雄一郎氏(国民民主党代表):
自民党のことはよくわからないが、自民党は地方議員がたくさんいるので、そういう方々にいろんな形で、たとえば選挙とか、いろんなものをお願いするときに使う、あるいは、人によっては香典とかあるいは結婚式。この冠婚葬祭の2つは領収書がいらない。そこのために自由に使えるお金を持っておくとか。あとは、自民党の総裁選になった時に、総裁選は公職選挙法の適用を受けないので、昔はすごい額のお金が飛び交ってたと聞くが、そういうものに使われるとか。ここはよくわからない。もし今回言われていることが真実であれば、仮に組織的にこれだけのお金を「裏金」として捻出してたということであれば非常に問題だし、具体的に何に使ったのかも含めて解明していくことが必要だと思う。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
玉木氏に聞くが、野党はこれから徹底的に自民党を追及する立場になると思うが、この手の話は必ずブーメランになり、自分たちもミスしていたという話で跳ね返ってくる可能性がよくある。国民民主党は大丈夫なのか?

玉木雄一郎氏:
それは大丈夫だ。我々も党のパーティーやっているが、ノルマは決めている。例えば、代表なんだから、これくらいやってくれと。ある種予定よりたくさん売ったものは、返しますよって制度もあるが、当然、入りも出もきちんと収書報告書に載せるということは当たり前だし、私なんか超過で売ったとしても、党に(環流を)求めないので、党の活動に使ってくださいとしているが、いずれにしても今回のことはものすごく大きなインパクトがあると思うし、特捜部も本気だっていうのは、かなり人員も強化して捜査態勢を拡充しているという話も聞くし、臨時国会が終わった後に本格的に色々な動きが出てくるんじゃないかと思う。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
確かに今回、東京地検特捜部が本気でやっているという話がある。臨時国会終了後の今月13日以降に、場合によって関係者、議員も含めて逮捕者が出るのではないかという観測も広がっている。自民党の5派閥の(収支報告書への)不記載の話から始まり、今、安倍派ではその額が1億円以上に及び、これが裏金に使われていたのではないかという疑惑が出てきているが、浅尾氏が所属する麻生派の中でも以前、薗浦元衆院議員が政治資金規正法違反で、3年間の公民権停止ということもあった。こうした事例もあったなかで、今回の事態を浅尾氏はどう受け止めているのか。

浅尾慶一郎氏(自民党政調会長代理):
まず、これは2種類の話があって、(パーティー収入で)20万円を超えるものについては記載しなければいけないという前段の話と、後段の方は報道しか知らないが、(収支報告書に)そもそも収入を載せていないんじゃないかという2種類の話があって、前段の方は、いろんな人が例えば、ある政治団体に売りに行くと、パーティー券売りに行くと、その人は、例えば、10万円分しか売っていないと言っても、3人から買っていたら30万円になる。一方、買った方は1万1円を超えるものは、収支報告書に全部載せなきゃいけない。だから、足し合わせると出てくるということで、これは各派閥とも、今言った「名寄せ」が不十分だったということで、総額が合っていない、ないしは、出していない所がある。それについては、総額が変わってないじゃないかと岸田首相も言ってるので、そこは多分単純な「事務ミス」というか、把握しきれてないところがあると。後段の方の、入ってくるお金、そして、出て行くお金の両方を載せていないということが明確にあったとすれば、政治資金規正法の違反になると思う。

橋下徹氏:
20万円以上の不記載は確かに「集計ミス」っていうような考え方もあるが、そういう集計ミスがある体質だから結局パーティー券をどこに売ったか、議員がどこに売ったかを全部把握しきれてない。一覧表に全部載せてたら、収入の不記載なんて絶対あり得ないわけで。パーティー券を売るときに自民党は全部売った先を一覧表にしているのか。

浅尾慶一郎氏:
いやいや、それは議員ごとの、例えば振り込み振込口座がある。それに載せてある。そこには載ってるんだけれども「名寄せ」がシステム的にうまくできてないという、ところがある。

橋下徹氏:
だから、その「集計ミス」なんていうのは、民間企業ではあり得ない話だ。

浅尾慶一郎氏:
そうでもない。例えば、銀行の振込っていうのはカタカナであって、その前後に番号とか入ってると、なかなかな「名寄せ」が難しい。システム的にちゃんと作っておかない限りはできない。

橋下徹氏:
例えば、民間企業が役所から補助金をもらうときに、(自民党の派閥と)同じような事態になったら補助金停止になるから、民間は二重三重のチェックをやっていく。だから、そこは単なる「集計ミス」だと軽く扱ったらいけないと思う。また、玉木氏は、お金に関して、政治活動で必要だと、いろんな地方議員に対して色々支援をするために必要ということを言ったが、これは本来ちゃんと政治団体にきちんと寄付をして記載を公表すればいいだけの話で、結局これは表に出ないお金ということは、これは、各国会議員が、裏金を得た人が、自分の所得にしてるってことになるのではないか。たとえば、結婚式に祝儀を出すとか、葬儀の時の香典に出すと言っても、本来だったら自分の所得の中でやらなきゃいけないところを、議員の歳費では間に合わないから、政治資金を自分の所得の方に流用してるのではないか。とんでもないことだと思う。

玉木雄一郎氏:
旧文通費も同じような指摘があって「第二歳費」とも言われて、ただ、非課税のお金なんで、わが党もこれは公表するようにしたが、やっぱそういうところは法改正も含めて全て明らかにしていくような方向にしないと、やっぱり納税者の納得は得られないと思う。

松山キャスター:
先ほど浅尾氏が言っていたように、「名寄せ」という、20万以下の収入が分散して入っていたものを、後でつき合わせてみれば20万超えているので、これを修正しなきゃいけないということでやってる部分もあると思うが、今回焦点になっている安倍派の中では、それとは別にノルマを超える部分についてのキックバックが各議員に行っていたのではないかと。そこの部分がクローズアップされているが、我々も取材をしていて今回、安倍派は最大派閥なのに実はそれほどパーティー収入が多くなかったというところで、やはり何かあったんじゃないかという観測が前から出ていたが、今回、安倍派だけ(無記載が)常態化していたんじゃないかという意見が出て、安倍派を守るっていう雰囲気があまり自民党内に感じられないが、これは安倍派だけの特殊な事情なのか、あるいは他の派閥でも似たようなことがあったのか、この辺りをどう考えるか。

浅尾慶一郎氏:
安倍派の実態というか、報道ベースでそういう話があるということは知っているが、どうなのかという本当のところはわからない。少なくとも自分が承知している限りは、収入として記載があって、それを超える部分について「ノルマ」という言い方がいいのかどうかあれだが、あるいは、みんなでお金集めをして、そして、それで活動費を作るってことであれば、自分が目標としている金額を超える分について、ちゃんと(収支報告書に)記載して戻すということをやっているはず。それをやっていなかったとしたら、先ほど言ったように法律に反するということになる。

橋下徹氏:
収入を落とすということは、民間で言うところの「売り上げを落とした」ということになる。これを民間がやったら国税庁から大変なペナルティーを食らうことになる。平気で簡単に収入を落とすってことをやれるって事は、国税庁みたいな調査機関がないっていうことと、やっぱり領収書を出さなくてもいいお金があまりにも多すぎるということが、国会議員の中で染み付いてるからだと思う。

松山キャスター:
現在の政治資金規正法のもとで、政治の資金の流れっていうのがうまく透明化できていないのではないかという指摘もあるが、このあたりを玉木氏はどう考えるか。

玉木雄一郎氏:
ただ、政治資金規正法っていうのは、ちゃんと入りも出も載せましょうというのがルールなので、その今の法律すら守ってないという話だと思う。政治はお金がかかるというのは実際そうで、特に私なんかで言うと私設秘書とかそこになる。本当は議員を減らして、その財源であの公的に見てくれる秘書の数を増やせば、無理して追加の収入を得るようなことは少なくとも我々はしなくてよくなるので。そういう改革もするし、実際、働く議員も働かない議員も同じだけの歳入しかないので、経費計上を認めてもらいたい。活動を見ると。何もしてもしなくても、同じだけの歳入が入ってくるとか、そういうこと自体から直していかないと変わらないんじゃないかなという気がする。

日曜報道THE PRIME
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