いよいよ2023年も残り1カ月を切ったが、みなさんは年末年始の準備を進めているだろうか。そこで気になるのが年賀状やお歳暮だと思うが、年賀状を“送らない派”が5割を超えていることが明らかになった。

株式会社ライボの調査機関「Job総研」は11月、社会人900人(男:女=6:4)を対象に「2023年 年賀状と歳暮の意識調査」を実施。

(画像提供:ライボ Job総研調べ「2023年 年賀状と歳暮の意識調査」)
(画像提供:ライボ Job総研調べ「2023年 年賀状と歳暮の意識調査」)
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この中で年賀状を送るか聞くと、「送らない派」は51.5%(送らない35.9%・たぶん送らない15.6%)。

年代別に見ると、20代が61.8%で最多となり、30代が52.0%、40代が46.4%、50代が41.3%と、年代が低いほど「送らない派」が多い結果となった。

(画像提供:ライボ Job総研調べ「2023年 年賀状と歳暮の意識調査」)
(画像提供:ライボ Job総研調べ「2023年 年賀状と歳暮の意識調査」)

また、お歳暮については「送らない派」が7割(70.6%)を占めた。

こちらも年代別で見ると、20代が75.1%と最も「送らない派」が多く、30代が71.5%、40代が69.3%、50代が63.0%と、年賀状同様に年代が低いほど「送らない派」が多い結果となった。

送っている層が文化の必要性を感じていない?

このような現状が分かったが、その一方で年賀状・お歳暮の贈答文化の“必要性”についてはどう感じているのだろうか。

年賀状文化を「必要ない」と回答した人は66.3%。年賀状を「送る派」が48.5%であることから、必要性はないと感じつつも「送る/たぶん送る」と回答している人がいるということになる。

なお年代別で最も多く「必要ない」と回答したのは、年賀状を「送る派」が50代に次いで多かった40代だった(70.9%)。

お歳暮(画像はイメージ)
お歳暮(画像はイメージ)

一方でお歳暮文化が必要ないと回答した人は66.9%。また年代別でお歳暮を「送る派」が最も多かった50代が、最も多く「必要ない」と回答した(79.9%)ことも興味深い。

これらの結果にはどのような傾向があるのだろうか。調査を行ったJob総研に聞いた。

コロナ禍とデジタル化が贈答文化に影響?

――結果を見てどう感じた?

日本の歴史の中で親しまれてきた年末文化にお歳暮や年賀状がありますが、日本郵便によると年賀状の発行枚数は減少傾向にあることがわかっています。さらに昨今では3年間のコロナ禍による価値観の変化やデジタル化の加速により、一般的とされてきた日本の贈答文化に影響を及ぼしていると予想し調査を開始したため、仮説通りの結果となりました。


――この調査は毎年行っているの?

今回初の実施となりましたが、年賀状を送っていた派の推移を調査したところ、コロナ禍前の2019年は5割強、コロナ禍の2020年から3割に激減し2022年は3割強まで回復しています。お歳暮はコロナ禍前の2019年は5割強、コロナ禍の2020年から2割に激減し2022年には2割強まで回復傾向にありました。世の価値観の変化とともに今後も続けたい調査内容です。


――年賀状を「送らない派」「送る派」の理由にはどのような傾向があった?

「送らない派」は“SNSで代用可能”の意見が最も多く、次いで“準備時間の無さ”の回答が目立つ傾向にありました。近年では若い世代に限らずLINEやインスタグラムの利用者が多い他、現代人のタイムパフォーマンス意識も高い傾向にあることから、紙の年賀状ではなく手軽に挨拶ができるツールを選択し始めているのだと考えられます。

年賀状をコミュニケーションのツールとして利用する人もいる(画像はイメージ)
年賀状をコミュニケーションのツールとして利用する人もいる(画像はイメージ)

「送る派」は、コミュニケーションになるという回答が最も多い結果となりました。自由記述にて年賀状は“久しぶりの交流機会”や“普段会わない人との連絡手段”とする回答もあることから、今後の関係構築の手段としてだけでなく、デザインやメッセージなど送り手による個性を感じさせる贈り物となることから、コミュニケーションツールとして好む人がいると考えられます。


――お歳暮を「送らない派」「送る派」の理由にはどのような傾向があった?

「送らない派」は金銭面への懸念を持つ回答が顕著でした。お歳暮は贈答相手との関係によって選ぶ品や金額も異なるケースもあることに加え、複数名への贈答を予定する場合負担が大きくなる出費の1つと考えられます。

「送る派」は、感謝や挨拶の手段として毎年送る趣旨の回答が顕著でした。他にも忖度という回答も一定数存在し、相手との関係構築を重要視している層の回答が目立ちました。

不要派は文化疲れも影響?

――50代で「お歳暮文化の不要派」が最多となったのにはどのような理由が考えられる?

文化疲れがあると考えられます。恒例で送っていたもののコロナ禍で直接贈答がしにくい状況になったことを機に文化の見直しを図った人が存在したと考えられます。


――では40代で「年賀状文化が不要派」が最多となったのは?

比較的年賀状での交流をメインに経験してきた年代だと考えられますが、デジタルの進化により不要派が多数となったと考えられます。

お歳暮に経済的負担を感じる人も(画像はイメージ)
お歳暮に経済的負担を感じる人も(画像はイメージ)

――自由回答で、年賀状やお歳暮を「やめた」または「やめる予定」という人はいた?

スマホ普及や年末の忙しさに加え、受け取り後の返答義務や精神及び経済的負担を感じるようになっていたため、コロナ禍が「やめる」きっかけになったという回答が多く見られました。


――では年賀状やお歳暮を「始めた」または「続けていきたい」という人はいた?

贈り始めた回答はなく、続ける趣旨の回答は少数派ですが存在しています。縁起物や準備及び交換が楽しいという理由が見られました。


――今後、年末年始の贈答文化はどうなっていくと思う?

お歳暮は文化として無くなる傾向にありますが、年賀状はデジタル化などと組み合わせることで継承される可能性もある文化だと考えられます。


年賀状とお歳暮を「送る派/送らない派」にも、様々な思いがあるようだ。どちらの人もアンケートの結果を参考にしてみるといいかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。