コロナ禍で22日から始まる「GoTo トラベルキャンペーン」が議論を呼んでいる。

その一方で、今、鉄道ファンにはたまらない企画がスタートしているのをご存じだろうか。

それがこちらだ。

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その名も「鉄印帳(てついんちょう)」プロジェクト。神社や寺院において、主に参拝者向けに押印される“御朱印”の鉄道版のようなものだ。

プロジェクトは第三セクター鉄道等協議会と加盟する鉄道会社40社と旅行読売出版社が連携し、「鉄印帳」の販売と「鉄印」の記帳を7月10日から開始した。

初版5000部の鉄印帳(2200円税込)を購入し、各鉄道会社の指定窓口で乗車券の提示と記帳料(300円~)を支払うことで、各社のオリジナル「鉄印」を手に入れることができる。

「鉄印帳」
「鉄印帳」

なお、鉄印帳企画の参加鉄道会社は、北は北海道から、南は熊本県で、以下のようになっている。

道南いさりび鉄道・三陸鉄道・IGRいわて銀河鉄道・秋田内陸縦貫鉄道・由利高原鉄道・山形鉄道・阿武隈急行・会津鉄道・野岩鉄道・わたらせ渓谷鐵道・真岡鐵道・鹿島臨海鉄道・いすみ鉄道・北越急行・しなの鉄道・えちごトキめき鉄道・あいの風とやま鉄道・IRいしかわ鉄道・のと鉄道・明知鉄道・長良川鉄道・樽見鉄道・天竜浜名湖鉄道・愛知環状鉄道・伊勢鉄道・信楽高原鐵道・京都丹後鉄道・北条鉄道・若桜鉄道・智頭急行・井原鉄道・錦川鉄道・阿佐海岸鉄道・土佐くろしお鉄道・平成筑豊鉄道・甘木鉄道・松浦鉄道・南阿蘇鉄道・くま川鉄道・肥薩おれんじ鉄道

鉄道ファンだけでなく、多くの人が楽しめそうなこのプロジェクトでとても興味深いが、今は新型コロナウイルスの影響で、旅行を躊躇っている人も多いはず。

企画の詳細や、この時期を選んだ理由について旅行読売出版社の担当者にお話を伺った。

鉄印のデザインにルールはなし

ーーなぜこのようなプロジェクトを始めた?

第三セクター鉄道等協議会会員の連携事業として、鉄道利用の増進、鉄道ファンの囲い込み、新たな収入源の確保を継続的に実施することを目的に企画をはじめました。


ーーアイデアはどこから着想した?

寺社をめぐる御朱印や城をめぐる御城印の人気を受けて、くま川鉄道(熊本県)の永江社長から第三セクター鉄道等協議会で同様のことができないか、という提案がありました。


ーースタンプラリーとはどう違う?

通常、スタンプラリーは指定の場所に設置されていて、お客様自身で完結するものですが、この鉄印帳は、駅員とお客様との接点(会話など)を作るコミュニケーションツールとしての役割があります。


ーーそれぞれの鉄印のデザインにルールはある?

厳密なルールはありません。手書き、プリント、スタンプなど各社がお客様に喜んでもらえるよう工夫を凝らしています。

参加する鉄道会社のロゴ一覧
参加する鉄道会社のロゴ一覧

コンプリートにどのくらいかかる?

ーー10日の発売で売れ行きは?

具体的な数字は申し上げることはできませんが、多くの方に興味を持っていただき、予想以上の反響をいただきました。


ーー40鉄道をコンプリートするのにどのくらいかかりそう?

予想がつきませんが、一番早い人でも1年くらいはかかるのではないでしょうか。


ーー対象の駅が増える可能性はある?

増える可能性はあるかと思いますが、人員の確保などの問題もあり、当面は現状の対応となるかと思います。

鹿島臨海鉄道の鉄印
鹿島臨海鉄道の鉄印

開始を延期してタイミングを模索していた

ーーこの時期の実施に葛藤はあった?

当初予定の6月13日開始を延期して、リスタートのタイミングを模索していました。葛藤はありましたが、緊急事態宣言解除後、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくという政府方針に沿って対応しています。


ーー“鉄印帳”について新型コロナウイルスの対策を教えて

鉄道各社とも、毎日鉄道を運行しています。普段から、国や業界の鉄道連絡会が定めたガイドラインに沿って感染防止策を取っています。今回、窓口での鉄印帳販売や押印、記入の作業が加わりますが、対応する従業員の健康管理をきちんと行い、手洗いなども奨励します。記入してもらうお客様側についても、もし列ができた場合には間隔を取るなど、感染防止に留意します。


ーー夏休みに鉄道での旅行を考えている人に一言

体調が悪い人は遠慮していただくのはもちろん、感染拡大防止対策を十分した上で、この鉄印帳を持って鉄道旅を楽しんでいただければと思います。

甘木鉄道の鉄印
甘木鉄道の鉄印

鉄印をすべて集めると、希望者にはシリアルナンバー入りの「鉄印帳マイスターカード」(有料)を発行してくれるとのことだ。

また、特に期限を設けていないとのことなので、新型コロナウイルスの収束を待ちながら、ローカル線の旅をゆっくりと楽しみつつ、“鉄印”集めをするのもよいだろう。
 

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プライムオンライン編集部
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