どうやって使うの? 「切符の芯」を駅が配布
不要になった物も、実は誰かにとっては垂涎の逸品だったりする…そんな掘り出し物を求めて古本市やリサイクルショップを覗いてみたりする人もいるだろう。
こうした中、巣鴨駅で配布された“謎過ぎるアイテム”がTwitterをざわつかせている。
それが、こちら。
JR巣鴨駅に不思議な掲示。
「切符の芯」を希望者にくれるらしい。
サッパリ判らないので、貰ってみた。
ガムテープの芯的な 直径14.5cmの品で、頑丈!
切符の紙が巻き付いたロールが、自販機に入ってるそう。
配布ニーズがあるのか駅員さんに訊いたら、判らないから配布案内出してみたんだって( ^ ^ ) pic.twitter.com/AZVr3fti73— ssk (@ssk93502) January 10, 2020
「JR巣鴨駅に不思議な掲示。『切符の芯』を希望者にくれるらしい。サッパリ判らないので、貰ってみた。ガムテープの芯的な直径14.5cmの品で、頑丈!」
投稿したssk(@ssk93502)さんのコメントにもあるように、一見、ガムテープの芯のようなこのアイテム。実はこれ、切符を印刷する用紙の芯だというのだ。
切符を扱う駅ならではの品ということで、確かに“レア度”は高そうな「切符の芯」。
正直、何の役に立つのかは全く分からないが、このポスターがSNSで拡散されると、「理由はなくとも欲しくなる…」「JR東日本は頭がやわらかいなあ」と大人気に。使用法はそれほど問題ではなかったようで、「実際に貰ってきました」という報告が続々アップされた。
我々はこれをどう活用するのが正解なのだろうか。そしてそもそも、一体なぜJR巣鴨駅は「切符の芯」配布に踏み切ったのか。
まずは実際に切符の芯を入手した人にお話を聞いてみた。
実際に貰った人はこんな使い方を
「気になったのでとりあえず1つ貰ってみた」という鉄道好きのTwitterユーザーかがやくごったん(@e7_sg_gotsu)さん。
巣鴨駅に寄ったら…
「きっぷの芯をお配りしています。ご希望の方は改札口の駅係員まで」
とのポスターを発見。
気になったので、とりあえず1つ貰ってみた。確かに幅はきっぷサイズだ。
駅と同じくパンフレット立てとかで活用するのがベストか? pic.twitter.com/6WVUDaVJpQ— かがやくごったん (@e7_sg_gotsu) January 5, 2020
使い道について聞いてみると、郵便物やチラシ等を立てかけているそうで、一般的なガムテープの芯が直径8cmほどなのに対し、切符の芯の直径は14.5cm。A4用紙を三つ折りにしたサイズの封筒がすっぽり収まるサイズということで、なかなか使い勝手は良さそうだ。
「切符の芯が一般に配布されていると聞いて、まずはやはり驚きました」と話す、かがやくごったんさん。
「駅の中でクレジットカード等の申込書立てや不要の精算レシート入れ等で有効活用しているのは知っていましたが、まさか欲しい方へ配布していただけるとは…他の駅にも広まるといいなと思いました」と、驚きと期待の声も挙がった。
そしてさらに、かがやくごったんさんは切符以外の“芯”も巣鴨駅でゲットしていたそう。
1月26日に再び巣鴨駅を訪れたところ、すでに芯の配布は終了してしまっていたそうだが、代わりに窓口清算の際などに貰えるレシートの芯を貰えたということで、こちらの小さい芯はボールペンのサイズにぴったり。「ボールペン立てとして使います」と話してくれた。
本日、巣鴨駅に寄って話題となった切符の芯を貰おうとしたら、残念ながら在庫切れ…
その代わり、窓精やPOSで使われてるレシートの芯を頂く事ができた。
殆どの人がICで乗ってる時代。切符の芯は、1日1〜2本位しか排出されない模様。
(巣鴨駅員談。閑散期・繁忙期等、時期による変動もあるとのこと) pic.twitter.com/akGyl6bQsk— かがやくごったん (@e7_sg_gotsu) January 26, 2020
この他にも、SNS上では「加工してみよう」「子どもがきっと何かを作るはず」と、切符の芯の活用法を探す声が続々。
不要になった芯たちには、思いがけず様々な利用法がありそう…ということが見えてきたが、そもそも、巣鴨駅はどんな使用法を想定して配布に踏み切ったのだろうか。
続いて、JR東日本東京支社の広報担当者にお話を伺った。
もともとは「夏休みの自由研究用に…」
――「切符の芯」はなぜ配布している?
駅員の中から「捨ててしまう切符の芯を何かに活用できないか?」というアイデアが挙がりました。頑丈な素材でできているため、夏休みの自由研究などに使えるかもしれない、ということで配布を開始しました。
――駅でも切符の芯を活用しているというのはホント?
いくつかの芯をくっつけて筒状にしパンフレットを入れるなど、様々な駅で活用しています。しかし、通常はゴミとして処分してしまい、巣鴨駅以外での配布は行っていません。
実はこの切符の芯、2019年7月から配布を開始していたそうで、ポスターもこの頃から掲示されていたという。
配布のきっかけは「夏休みの自由研究の素材」として活用できるかもしれない、ということだが、以前よりその素材の頑丈を活かして、巣鴨駅に限らずちょっとした物を入れるために駅では活用されているそうだ。
交通系ICカードの普及で“レアもの”に?
「物を立てかける」という駅お墨付きの利用法だけでなく、SNSの様子から色々な可能性が見えてきた切符の芯だが、そもそも「最近切符を使わない…」という人も多いだろう。すでに配布が終了してしまったことからも、実はかなりの“レア物”だったのでは…という気もしてきた。
――切符の芯は毎日どのくらい発生するもの?
1日数個程度です。
――実は切符の芯はレアアイテムだった?
Suicaなどの交通系ICカードが普及したことで、確かにピーク時に比べて切符の使用量は減っています。しかし、新幹線や特急券は変わらず紙の切符を使用することが多いので、切符が全く無くなるということはないかと思います。
――今後、巣鴨駅で再配布の予定はある?
現段階では未定です。
ちなみに、レシートの芯をボールペン立てとして使うことなど、様々な活用法が編み出されていることには「我々でも思いつかないアイデア」と話してくれたJR東日本。
「今後配布されるかもしれない、“実は駅で余っているアイテム”などはある?」と聞いてみると、「現場の社員のアイデア次第ですね」と教えてくれた。
たくさんの人の想像力をかき立てるきっかけになった不思議なアイテム。
普段ICカードを使っている人も、久しぶりに紙の切符を買って、券売機の中身に思いを馳せてみるのもいいかもしれない。