7月1日からスーパーやコンビニなどのレジ袋が有料になり、マイバッグを持ち歩く人も増えただろう。その一方で、会計時にマイバッグを取り出すのに手間取った経験はないだろうか。
こうしたちょっとしたストレスを解消する、簡単にマイバッグを取り出せる道具がTwitterに投稿され話題となっている。
それがこちらだ。
コンビニでマイバックを取り出すのに手間取るので、手首から袋を射出するメカを製作しました!#SackShooter pic.twitter.com/VmfFFj6M2a
— Tsukasa-3D (@Tsukasa_3D) July 12, 2020
コンビニでマイバッグを取り出すのに手間取るので、手首から袋を射出するメカを製作しました
Twitterに投稿されたのは、簡単にマイバッグを取り出すことができる「Sack-Shooter」というアイテム。
動画を見ると、この「Sack-Shooter」を手首に装着して付属しているフックを引くと、中に入っているレジ袋が勢いよく出てくる。さながらスパイダーマンのようでもあり、スパイの秘密道具感もあり、ちょっとかっこいい。これならマイバッグをごそごそと探すストレスもない。




投稿したのは、ものづくりの動画をYouTubeにアップしている現役大学院生デザイナーの「Tsukasa-3D」さん。
Twitterでは「すご!店員さんの反応見たい!」「何かカッコよく見えて来ました」など声があり、約1万6千件のリツイート、約2万5千件のいいねがつくなど、話題となっている。(7月21日現在)
確かに店員さんの反応が気になるが、「Sack-Shooter」を実際に使ったのか?制作者である「Tsukasa-3D」さんにお話を伺った。
ワクワクするようなギミックを備えたものを作った
ーーアイデアはどこから着想した?
買い物に使用するレジ袋が有料化されたことで、レジ袋を再利用する機会が増えました。会計前にマイバッグを取り出すのに手間取ってしまった経験から、袋を身につけて、素早く取り出す装置を製作することにしました。
開発する中で、単に便利なアイテムを作るのではなく、ワクワクするようなギミックを備えたものを作ろうと考え、Sack-Shooterが誕生しました。素早くポリ袋を展開できるように試行錯誤を重ねる中で、遠心力でポリ袋を射出する方式が確実に射出できることがわかりました。
ーーどんな仕組み?
一本の輪ゴムが動力となっています。スイングカップ(袋が収納されるコンテナ状の部品)がケース(バントがついている全体を覆う部品)に収める時に外周の輪ゴムを伸ばすようになっています。
そしてケースにスイングカップが収納された状態になると、ラッチ(留め具)が引っ掛かり、収納された状態が保持されます。使用時は円形のトリガー(引き金)をひくラッチが開放されて輪ゴムが縮む力でスイングカップが180度回転し、遠心力で袋を勢いよく射出します。なお、引く操作は2段階のクリック感があり、暴発を防ぐ仕組みになっています
ーーマイバッグのために作った?
ポリ袋をマイバッグとして数回再利用する用途を想定して開発しました。通常は機能性を重視した製品が多いのですが、今回は「楽しさ」を追求した一味違う製品となっております。
ーー何か以前作っていたものを応用した?
この機構は中学時代に開発していたペットボトルロケットのパラシュートを射出する仕組みを小型化して採用したものです。

スパイダーマンをオマージュ
ーーマイバッグを仕込むのは簡単?
折りたたむ際に大きさの基準となる枠も製作し、これを袋の内部に入れることで、毎回同じ大きさに折りたたむことができます。また、この枠はウェイトとしても機能し、展開を補助する役目もあります。
おり方は、縦に蛇腹折にしてから、巻くようにおりたたんでいます。何通りか試し、最適な畳み方を見つけました。慣れれば比較的簡単だと思います。
ーーマイバッグを取り外すのも簡単?
特定の方向に引っ張ると取り外すようになっているので、ワンタッチで取り外せます。
ーー名前の由来は?
スパイダーマンが糸を出すためにWeb Shooterという機械を使用します。網射出機という意味です。これをオマージュし、袋射出機 Sack-Shooterと呼んでいます。意味的にはbagの方が近いのですが語感はSackの方が良かったのでSack-Shooterとしました。
ーーこだわりを教えて
面白さはもちろん、実際に使ってみたくなるような仕上がりにすることです。出来る限りサイズを小さくし、使いたい時に確実に動作するように機構の信頼性も重視しました。
ーー苦労したのはどこ?
小さなスペースに必要な機能を詰め込むのに苦労しました。
ーー制作時間は?
7/1よりレジ袋が有料化されたのをきっかけに着想し、10日ほどで完成しました。

店員さんの前で使ったことあります
ーー店員さんの前で使ったことある?
あります。
ーー使った感想は?店員さんの反応は?
キャッシュレス会計のためにスマホを取り出しながらポリ袋を用意できるなどのメリットを感じられました。
普段は迷惑にならないよう、さりげなく使うので、気づかれないことの方が多いです。店や施設によっては、スパイダーマンのようだという話で盛り上りました。
ーー他の袋でも使える?
袋は現在、ポリ袋のみでテストしております。コンビニで用いられる通常用のSサイズの袋(30号、縦400mm横290mmマチつき)に対応しています。弁当用の袋に対応しております。
3Dデータのダウンロード販売を検討中
ーー販売はする予定はある?
3Dプリンターを使ったもの作りの魅力を伝えるという意味合いが大きい作品だったので、現時点では製品化の予定はありませんでした。
一方で、今回の投稿では大変多くの方々からご好評をいただき、購入を希望される方もいらっしゃるので、今後は3Dデータのダウンロード販売を検討しております。3Dプリンターユーザーは多くはないので、もし完成品の商品化を希望される企業がいらっしゃいましたら共同開発ができればと思います。
ーー子供が喜びそうだが、反響はあった?
リプや引用RTなどで多方面からの反響がありました。「子供が見たら買いたがりそう」などの感想もいただきました。
ーー他にはどんな作品を作っている?
最近では新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、3Dプリンタで作成できるアイテムをデザインしました。繰り返し使えるマスク「PTATT 3D Print Mask」、公共物への接触を減らせるアクセサリ「Fitas Finger shield」を開発し3Dデータを無償公開して誰でも自由に利用できるようにしました。

ちょっとした遊び心が楽しい「SackーShooter」。Tsukasa-3Dさんは他にも様々な作品を製作しているので気になる人はチェックしてほしい。
画像提供:Tsukasa-3Dさん
【関連記事】
2020年春にも「チャック付き紙容器」が登場…脱プラの代替品として“同等のバリア性”