富山・南砺市の彫刻家の男性が漆の高い抗菌性に着目し、漆とパルプで新素材を開発。いずれは地元で栽培した漆で商品を開発し、脱プラスチックにつなげたいという大きな夢を抱いている。
高価なため自ら漆を栽培 採取に成功
砺波市庄川の山あいには、南砺市井波の彫刻家・青山三郎さん(72)が耕作放棄地を開拓し7年前に苗木を植えた漆畑が広がっていた。
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2023年初めて漆を採取することができたという。
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彫刻家・青山三郎さん:
元々漆を使って作品を作ってるんで、日本産の漆はすごく高価で手に入らない。じゃ自分で作っちゃえと思って
南砺市の川森清さん(64)は、青山さんとともに漆の栽培に乗り出そうと動き出した。漆を使い、新たな素材「ウルシート」を開発したのだ。
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川森清さん:
五箇山の和紙に漆の樹液をしみこませて、熱をかけてプレスすると、こういう素材になる。一番薄いが、何枚か重ね合わせると折れないプラスチックになる。なるというよりは、プラスチックに代わる素材になる
抗菌に優れる 欧州中心の輸出市場へ
新素材「ウルシート」は、パルプ材100%の紙に、漆の樹液をしみこませ加熱圧縮したものだ。
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軽さと丈夫さ、さらに天然由来の高い抗菌性と耐熱・耐水性にも優れていることから、名刺や食器・病院の壁紙や手すりなど、様々な用途に利用できるという。
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川森清さん:
色んな用途にも使えるというPRをしながら、日本というものを大々的に訴えかけながら、最終的にはヨーロッパを中心とした輸出市場に打って出たい
南砺市井波出身の川森さんは、大手電動工具メーカーでドイツなど主にヨーロッパの拠点作りに携わってきた。3年前、新型コロナウイルスによるロックダウンを経験したことで、漆の「高い抗菌性」に着目。帰国後に入社した漆加工会社の同僚と2022年に会社を立ち上げ、ウルシートを開発した。
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既に時計の文字盤や寺の宿坊を訪れる海外からの観光客に渡す干支カードに使用するなど、全国から商品化の引き合いがあるという。
川森清さん:
ここも水はけ良さそう
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彫刻家・青山三郎さん:
河原の土なので、すごく水はけもいいし、広さも1haくらいあった。これが今年初めて採れた漆
量産化へ向け工場新設 南砺から発信
川森さんは、ほとんどを海外からの輸入に頼っている漆を地元の南砺市で栽培し、里山の保全にもつなげたいと、青山さんとともに漆の植栽に適した土地を探し始めた。
畑の横には、2024年度中に生産工場を設ける予定で、ウルシートの量産化を目指す。
![「ウルシート」を開発した川森清さん](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/b/700mw/img_5b022bbcd13794425866a260668acfbf355527.jpg)
川森清さん:
地元産で漆をまかなって、地元産の紙を使って、すべてのプラスチックの肩代わりになるような、そういう世界を南砺から発信できるように、そういう道筋ができればいい
南砺市を漆生産の一大拠点に…。
漆の大きな可能性に着目した取り組みに期待が集まっている。
川森さんは、12月初めに東京で行われる大手企業とのマッチングイベントに出展し、ウルシートのプレゼンテーションを行う予定だという。
漆とパルプの新素材、どんなコラボが実現するのだろうか。
(富山テレビ)