2023年11月1日、漫画「続・動物園のなにげない一日」が発売された。作者は、愛媛県立とべ動物園きってのイラストレーターで、キリンの飼育を担当する宮越聡キーパーだ。待望の続編漫画本、その制作に密着した。
「話すだけじゃ面白くない」 動物のエピソードを漫画に
2023年5月、宮越キーパーは、漫画の制作に必要なネタを集めていた。話を聞くのは育児休業明けで1年ぶりに復帰した山本祥菜キーパーだ。
宮越聡キーパー：
山本キーパーが面白い話を持っていると聞いたので、ちょっと聞きに行きたいと思います
山本キーパーが飼育を担当するキバタンのタローのエピソードがあるようだ。
キバタン担当 山本祥菜キーパー：
育休明けもタローちゃんは大丈夫だろうと甘く見てたら、会った初日に飛びかかられて。とりあえずその日は大好物のピーナッツでなだめ、「ごめんよ、ごめんよ」みたいな感じで、さっさと飼育作業も終わらせた
いいネタをゲットできた様子の宮越キーパー。さっそく、近くのベンチで下書きをする。
宮越聡キーパー：
ネタ帳的な、これに大まかなストーリー、構成を書く一番最初のものです。漫画自体は基本9コマで構成しているので、9分割して、そこのコマにどういう絵を描いていくかっていう
子どものころから絵を描くことが好きだった宮越キーパー。動物園で漫画を描き始めて20年以上になる。
宮越聡キーパー：
当時ゾウの飼育に携わっていたんですけど、そこで面白い出来事があって、ただ単に話すだけじゃ面白くないなということで、話を知っていただけるきっかけになるんじゃないかと思って描き始めました
宮越キーパーの漫画が掲載されるのは、年4回発行される機関誌や、毎月発行され、園内に掲示されるサバンナ新聞だ。10年前の2013年に第1弾の本を出版した。
宮越聡キーパー：
たくさんの方から「面白かったよ」っていう感想をいただきましたし、その直後から「次はいつ出るんですか」っていうことをたくさん言っていただきました
開園35周年を記念し第2弾出版へ
そして今回、とべ動物園の35周年を機に、第2弾を出版することになった。
宮越聡キーパー：
あまり大きなニュースは取り上げたくないというか。表に出ないような些細（ささい）な事でかつ、面白いとか不思議とか、へーっていうのを特に漫画にして知ってもらいたいなと思います
6月、飼育を担当するキリン舎の詰め所に宮越キーパーの姿があった。色塗り作業の真っ最中だ。
宮越聡キーパー：
色塗りはあんまり好きじゃない、苦手なんです
「苦手」といいつつも、イラスト用のペンで丁寧に作業を進めていく宮越キーパー。キーパーの仕事の合間を見ながら漫画制作を行う。
宮越聡キーパー：
はい、終わりました
約1時間半かけて色塗りが終わった。これをデータ化して、文字を入れたら完成だ。
宮越聡キーパー：
疲れました。これはこれですごくやりがいがあって、楽しいですね
「本を片手に動物園を楽しんでもらえたら」
そして2023年11月1日。全71話が入った新作マンガ本が発売された。
鈴木瑠梨アナウンサー：
宮越さん、漫画出版おめでとうございます
宮越聡キーパー：
ありがとうございます、できました。10年間書きためていたものがこうしてまた一つの形になったということで、達成感というか、非常にうれしい気持ちでいっぱいです
ネタとなるエピソードを提供してくれた山本キーパーにも見てもらった。
山本祥菜キーパー：
できましたか！逃げる感じがいいですね。仕事をやりながら作りながら、来園者の方に違う形で動物園を知ってもらったり、楽しんでもらうことができるアイテムを作っていただけるということは、すごいことだと思います
宮越聡キーパー：
漫画ということで大人の方から小さなお子さんまで、たくさんの方に読んでいただきたいと思いますし、この本を片手に園内を回って漫画に出てくる動物たちを探しながら、また飼育係、キーパーを探しながら回ってもらうと楽しいかなと思います
「続・動物園のなにげない一日」は、とべ動物園内の売店やオンラインショップで購入できるほか、愛媛県内の書店にも順次並ぶということだ。
（テレビ愛媛）
