イスラム組織ハマスに対する作戦が、新たな段階に入った。
ハマスは15日、「シファ病院の地下にイスラエル軍が入っている」とSNSに投稿。イスラエル軍が“ハマスの司令部がある”としてきたシファ病院に突入したとみられている。

“ハマス司令部”シファ病院に突入

ハマスは5日間の停戦などを条件に、最大70人の人質解放に応じる用意があるとしていたが、イスラエル側はこれに応じることはなく、イスラエル側が重要拠点とみているシファ病院への突入に踏み切ったとみられる。

イスラエル軍がシファ病院に突入
イスラエル軍がシファ病院に突入
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ガザ地区保健所のスポークスマンによると、イスラエル軍の占領は、シファ病院を四方八方から包囲したあと、激しい砲撃と銃撃が2時間続いたとしている。

ガザ保健当局が15日に公開したシファ病院内の映像には、砂ぼこりのようなものが視界を遮る中、集中治療室のような場所が破壊されているのが見える。

がれきの散らばる中、治療を受ける子どもの姿も
がれきの散らばる中、治療を受ける子どもの姿も

地面には医療器具とともにがれきが散らばり、すぐ近くのベッドには治療を受ける子どもの姿もあった。

イスラエル軍突入前とみられる映像には申請時を抱える医師らが
イスラエル軍突入前とみられる映像には申請時を抱える医師らが

ガザ保健当局が公開したイスラエル軍の突入前とみられる映像には、医療機器が倒れ、がれきが散らばる集中治療室で、けがをした子どもが治療を受ける様子や医師らが生まれたばかりの赤ちゃんを抱えながら、あわただしく移動する様子が映し出されていた。こうした新生児をはじめ、シファ病院には600人以上の患者と約1500人の民間人が避難しているとみられている。

その病院の敷地内では、戦車が目撃されたという話も出ている。

中東の衛星テレビ局・アルジャジーラは、シファ病院の医師の話として「戦車やブルドーザーが病院の敷地を通っていくのを見た。銃撃はまだ激しく、あちこちで爆発音がしている」と伝えた。

病院に対する攻撃は国際人道法違反だが…
病院に対する攻撃は国際人道法違反だが…

病院に対する攻撃は国際人道法違反となるが、イスラエル軍は複数の海外メディアに対し、今回の突入はあくまでハマスによる人質を解放する場所に到達するためのものであって、特定の場所に対する正確で的を絞った作戦だとして、病院への襲撃や制圧ではないことを強調している。

保育器の提供申し入れも

そうした中で、命の危機にあるガザの新生児のためにイスラエル軍は保育器の提供を申し入れているという。

保育器はなく裸に近い状態でおむつをして泣いている新生児
保育器はなく裸に近い状態でおむつをして泣いている新生児

ガザ保健当局が日本時間15日午前に公開した映像には、保育器はなく裸に近い状態でおむつをして泣いている新生児の姿があった。なかには、顔に傷を負って処置された赤ちゃんもいた。

ガザ地区の保健省によると、シファ病院には39人の新生児が入院していたが、燃料が切れて保育器が停止し、14日までに3人の新生児が死亡したという。

イスラエル軍は女性兵士が車両に保育器を運び込む様子を投稿
イスラエル軍は女性兵士が車両に保育器を運び込む様子を投稿

一方、イスラエル軍は病院突入を発表する前に、軍のX(旧Twitter)に女性兵士が車両に保育器を運び込む様子を投稿した。

イスラエル軍部隊の広報官が保育器の提供を申し入れたと話す映像も
イスラエル軍部隊の広報官が保育器の提供を申し入れたと話す映像も

また、パレスチナ自治区を担当するイスラエル軍部隊の広報官の女性が、シファ病院の状況を改善するため、保育器の提供をガザ保健所に申し入れたと話している映像も公開した。さらに、ベビーフードと医療物資の写真も公開し、保育器と一緒にこれらがシファ病院に届けられたとしている。
(「イット!」11月15日放送より)