長期化の様相を見せるイスラエル軍とイスラム組織・ハマスとの戦闘。親族が巻き込まれた富山県に住むパレスチナ人の男性は、「避難している人たちが自分の家に戻れるように」と願い、“即時停戦”を訴えている。

パレスチナ人でガザ地区出身のアルマスリ・アハメドさん(34)。

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ガザ地区出身の妻と子ども2人と富山県内に住むアルマスリさんは、医療向けのロボット工学を学ぶために7年前に来日。2023年4月から県内の大学で助教を務めています。

アルマスリ・アハメドさん:
家族の家はこの戦争の1週目に空爆され、ガザ北部の親戚の家に避難したがそこも攻撃された。その後避難した北部の病院も攻撃され、今は南部にいる。しかし南部でさえ安全とは言えない

衝突は1カ月以上 死者は約1万2000人に

10月7日、ハマスの奇襲攻撃をきっかけに始まったイスラエル軍のガザ地区侵攻。衝突は1カ月以上続き、イスラエルとパレスチナ双方の死者は合わせて約1万2000人となっています。

ガザ地区の家族や友人から送られてくる現地の悲惨な様子を捉えた写真や動画に、アルマスリさんの不安は膨らんでいく一方です。

アルマスリ・アハメドさん:
いとこが一人けがをした。他の親族は生きているが、決して良い状態じゃない

ガザ地区に残っている親族の無事を祈るアルマスリさん。これまでつながっていた国際電話ができなくなったと言います。

アルマスリ・アハメドさん:
ここ数日はまったく連絡が取れない。昨夜はネットも国際電話も何もつながらなかった。3日前からは妻の家族と連絡が一切とれていない

ガザ地区は「天井のない監獄」…願うは即時停戦

20年以上を過ごしたガザ地区は「天井のない監獄」とも言われ、今回の軍事衝突の原因になっているとアルマスリさんは考えます。

アルマスリ・アハメドさん:
この戦争は様々な要因が積み重なって起きた“リアクション”だ。ガザでの暮らしには希望がない。2006年のイスラエルのガザ地区侵攻から囚われの身も同然で、電気も1日最大8時間しか使えないし、きれいな飲み水もない。日々の暮らし自体が苦しみの連続だ

武力では何も解決できず、ただ命が失われていくだけ…。アルマスリさんの願いは即時停戦です。

アルマスリ・アハメドさん:
この戦争がただちに終わることを願っている。子どもや女性の殺害、病院や学校への爆撃をやめてほしい。そして最終的には、ガザの南部に避難している人たちが自分の家に戻れるようにしてほしい。たとえすべてが完全に破壊されていたとしても。それこそが私の望みです

「大人は戦争をしているが、子どもは関係ない」

アルマスリさんは現在、シリア難民などを支援してきた富山ムスリムセンターと協力し、現地の子どもたちに水や食料などの物資を支援をしようと動き出しています。

富山ムスリムセンターのサリム・マゼンさん(左)とアルマスリさん(右)
富山ムスリムセンターのサリム・マゼンさん(左)とアルマスリさん(右)

富山ムスリムセンター サリム・マゼン代表理事:
大人は戦争をしているが、子どもは関係ない。親もいなくなって、学校や住む場所もなくなった。子どもの未来はどうなるのか。子どもに支援しないと、大きくなったら、変な道に行ってしまう可能性が高い。子どもが困らないことが一番大事。日本から、富山から何かできないかと。そんなに力はないけれど、できるだけ頑張らないといけない

アルマスリ・アハメドさん:
富山をはじめ、日本の皆さんに戦争を止めるために力を貸してほしい。そして戦争後の復興や親を失った子どもたちのケア、食べ物や水など、どんなものでもいいから支援してほしい。お願いします

富山ムスリムセンターではお金を集めて周辺国で物資を調達し、ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所などから現地に物資を届けることを目指しています。

富山ムスリムセンター TEL 080-1957-4321(代表サリム・マゼン)

(富山テレビ)

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