日本は昨年の出生数が77万人と統計史上初めて80万人を割り込むなど、予想を超えるはやさで少子化が進展しているという。

こうした中、少子化対策の立案に役立てるため、東京都が6月に都内在住の18~29歳の男女各500人(計1000人)にLINEリサーチを使って「若年層の結婚・子供に関する意識調査」を実施。この中で未婚者の約7割が「いずれ結婚するつもり」と答え、回答者全体(未婚者・既婚者)の約7割は「子供が欲しい」と回答したことが分かった。

調査で「あなたは現在結婚していますか。結婚していない方は、結婚に関してどのような考えをお持ちですか」と聞いたところ、「現在、結婚している」が28.5%、「いずれ結婚するつもり」が51.0%だった。

あなたは現在結婚していますか(出典:東京都子供政策連携室「少子化対策の推進に向けた論点整理」付属資料)
あなたは現在結婚していますか(出典:東京都子供政策連携室「少子化対策の推進に向けた論点整理」付属資料)
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またこの調査で、18歳~29歳の未婚者の約7割が「いずれ結婚するつもり」と回答している。

未婚者の約7割が「いずれ結婚するつもり」(出典:東京都子供政策連携室「少子化対策の推進に向けた論点整理」付属資料)
未婚者の約7割が「いずれ結婚するつもり」(出典:東京都子供政策連携室「少子化対策の推進に向けた論点整理」付属資料)

理由で最も多かったのは「好きな人と一緒に生活をしたいから」(74%)、次に多かったのが「子供が欲しいから」「精神的な安らぎの場を持ちたいから」で、ともに45%だった。

一方、「結婚するつもりはない」は13.0%で、理由で最も多かったのは「1人が楽で、今の生活に満足しているから」(53%)だった。

2番目は「結婚するほど好きな人に巡り合っていないから」(51%)、3番目が「結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だから」(28%)だった。

72%が「子供が欲しい」と回答

また「あなたは、子供を欲しいと思いますか。子供を欲しい場合、何人ぐらいを希望していますか。すでにお子さんがいる場合も、希望している人数をお答えください」と聞いたところ、「1人」が11.0%、「2人」が50.7%、「3人以上」が10.3%だった。

つまり、約7割(72%)が「子供が欲しい」と回答したことになる。

理由で最も多かったのは「子供がいると生活が楽しく心が豊かになるから」(66%)、次に多かったのが「子供が好きだから」(43%)だった。

一方、「子供が欲しいとは思わない」は18.4%で、最も多かった理由は「子供を育てる自信がないから」(61%)、次に多かったのが「育児にかかる費用が心配だから」(49%)だった。

「自分の暮らしに満足していない」人では「子供が欲しい」が45%

また、「今の自分の暮らしに満足している」と答えた人(全体の32.9%)のうち、74%が「子供が欲しい」と回答したことも分かった。

一方で、「今の自分の暮らしに満足していない」と答えた人(全体の5.1%)では、「子供が欲しい」と回答した人の割合は45%まで下がった。

「暮らしの満足度」×「子供が欲しい」と答えた人の意向(出典:東京都子供政策連携室「少子化対策の推進に向けた論点整理」の付属資料)
「暮らしの満足度」×「子供が欲しい」と答えた人の意向(出典:東京都子供政策連携室「少子化対策の推進に向けた論点整理」の付属資料)

そして、「自分の将来について明るい希望がある」と回答した人(全体の23.5%)のうち、「子供が欲しい」と回答した人は86%に上ったが、「自分の将来について明るい希望がない」と回答した人(全体の8.9%)では「子供が欲しい」と回答した人の割合は39%にとどまった。

「将来展望」×「子供が欲しい」と答えた人の意向(出典:東京都子供政策連携室「少子化対策の推進に向けた論点整理」の付属資料)
「将来展望」×「子供が欲しい」と答えた人の意向(出典:東京都子供政策連携室「少子化対策の推進に向けた論点整理」の付属資料)

この調査結果、東京都はどのように受け止めたのか?また、どのような少子化対策が必要だと考えているのか?

東京都子供政策連携室の担当者に聞いた。

22年の出生数は約9万人で7年連続減少

――東京都にとって少子化対策は重要課題?

2022年の東京の合計特殊出生率は全国最低の1.04、出生数は9万1097人で7年連続減少するなど、少子化が進んでいます。

こうした中、東京が持続可能な成長を続けていく上で、望む人が安心して子供を産み育てられる社会を実現していくことが重要です。

東京都は、これまでも、待機児童対策や保育料無償化など様々な取り組みを進めており、今年度からは、0歳から18歳までの子供に月額5000円を支給する「018サポート」を開始するなど、対策をさらに強化し、スピード感を持って取り組んでおります。


――「若年層の結婚・子供に関する意識調査」を行った理由は?

効果的な少子化対策を行っていくためには、都民の価値観の変化や、今、求められているニーズなどを絶えず把握して、取り組みに生かしていくことが重要です。

今回の調査は、都内に暮らす若い世代にターゲットを絞って、現在の暮らしの満足度や将来に対する展望、結婚や子供を持つことの意識、行政に求めるサービスなどについて、調査を行いました。

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―――この調査結果、どのように受け止めた?

未婚者の約7割が「いずれ結婚するつもり」と回答しており、また、子供を欲しいと思っている方が全回答者の約7割いるなど、若い世代において、結婚や子供を持つことに前向きな方が多くいることが分かりました。

また、子育てをする上で、住宅費や教育費の高さ、仕事の不安定さや柔軟な働き方が難しいことなど、様々な不安を感じており、こうした懸念が理想の子供数を持つことを妨げる要因となっていると分析しています。

このほかにも、例えば、子供が欲しいと思う人・思わない人のそれぞれの理由や、「将来の展望が明るい人は子供を持つことに前向きな傾向がより強いこと」など、様々な意識が明らかになりました。

「少子化の要因は複合的で特効薬はない」

――この調査結果を踏まえ、どのような少子化対策が必要だと思う?

少子化の要因は複合的で、特効薬はありません。都内に暮らす若い世代の結婚や、子供を持つことに対する様々な不安や課題に対応した幅広い取り組みが求められていると考えております。

望む人が安心して子供を産み育てられる社会の実現に向け、子育て家庭に対するライフステージを通じた切れ目ない支援、教育・住宅への支援、子育てしやすい労働環境の整備など、東京都として様々な取り組みを強力に進めてまいります。

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今回の取材で印象的だったのは「少子化の要因は複合的で、特効薬はありません」という言葉だ。これを念頭に東京都が今後、幅広い取り組みを着実に進めていくことを期待したい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。