10月27日から29日に行われたフィギュアスケート・西日本選手権。

男子は中村俊介、女子は島田麻央が優勝した。

今大会を勝ち抜いた選手たちは、11月17日から滋賀県・木下カンセーアイスアリーナで開催される全日本ジュニアへ出場できる。その切符を手にした選手たちを紹介していく。

【ジュニア男子】中村俊介が初制覇

男子は上位16名が全日本ジュニアへ進出した。

中村俊介が西日本を初制覇する。

SPでシーズンベストを更新した中村俊介
SPでシーズンベストを更新した中村俊介
この記事の画像(22枚)

SPでは色気が増した演技で77.44点を出し、シーズンベストを更新する。トリプルアクセルも完璧に成功してみせた。

FSでは冒頭の4回転トゥループを転倒してしまうが、その後はきれいにまとめた。

転倒した4回転トゥループは、6分間練習で着氷していただけに「不満が残る演技になってしまった」と悔しさをあらわにする。

中村は「フリーの強さがまだまだ足りない」と課題をあげ、全日本ジュニアに向けては「自分の納得の行く演技を」と前を向く。

2位は森本涼雅。

FSで唯一ノーミス演技を披露した森本涼雅
FSで唯一ノーミス演技を披露した森本涼雅

出場者の中で、唯一FSでノーミス演技を披露。全てのエレメンツで加点が付く演技で、自己ベストを更新した。

前回優勝した近畿ブロックから、スケーティングの流れでジャンプを跳ぶ“繋ぎ”の部分を意識してきたという森本は、2019年に全日本ノービスAで優勝するも、ジュニアに上がってからくすぶり続けてきた。

今回初めて国内大会ジュニアでの公式戦でメダルを獲得。JGPに出られない悔しさから、気持ちの変化があったという。

初の全日本出場へ向けて「ずっとテレビで見てきた憧れのところなので出たいです」と意気込んだ。

朝賀俊太朗FSで初めてタンゴに挑戦した
朝賀俊太朗FSで初めてタンゴに挑戦した

3位は朝賀俊太朗。

去年優勝した朝賀は今回の結果に「悔しさもあるが嬉しい」と、全日本ジュニアへの出場を喜んだ。

「ミスが多かったが得られたものが多かった」と初めて挑戦したFSのタンゴの評価が思いのほか良かったことで手ごたえを感じたという。

中でもステップは会場の心を掴むような気迫がこもった演技で会場を魅了した。

近畿ブロックからFSばかり練習をしてきたため、「SPに時間を割かなかったのが今回の結果の原因」としたうえで、全日本ジュニアに向けてはSPのブラッシュアップも欠かせないと話す。

まだ見ぬ初の全日本へ、朝賀の挑戦は続く。

コレオシークエンスで初めて高い出来栄え点を獲得した垣内珀琉
コレオシークエンスで初めて高い出来栄え点を獲得した垣内珀琉

4位は垣内珀琉。

FSで2回転トゥループを2本着氷させる。転倒しそうなところを何とか耐えてみせた。

昨季より安定感が増し、より勢いに乗ってリズミカルになった。

スマホでスコアを確認して喜ぶ垣内
スマホでスコアを確認して喜ぶ垣内

自身のプログラムのポイントでもあるコレオシークエンスで出来栄え点1.00を初めて獲得し、4点を出してくれたジャッジに嬉しさを爆発させた。

全日本ジュニアへは、武器の4回転を引っ提げ、上位を狙う。

「楽しく滑れた」と大会を振り返る高橋星名
「楽しく滑れた」と大会を振り返る高橋星名

5位は高橋星名。

ジュニア1年目の高橋が堂々の滑りを披露する。

トリプルアクセルもきれいに着氷させ、「ミスもあったがリカバリーもでき、楽しく滑れてよかった」と振り返る。

全日本ジュニアでは「表彰台を目指して、全日本に推薦されるように頑張りたい」と意気込んだ。

ジュニア1年目の花井広人が6位に
ジュニア1年目の花井広人が6位に

6位は花井広人。

ジュニア1年目の花井も堂々の演技を披露し、目標の170点を「更新できてよかった」と自身を評価した。

全日本ジュニアでは「今大会よりもっといい演技を目指す」と話しながらも、さらに今年は「全日本推薦を狙う」と上を目指す。

「お兄さんたちを超して(全日本へ)いきたい」と真っ直ぐな目で語った。

ジュニア男子表彰台(西日本選手権)
ジュニア男子表彰台(西日本選手権)

【ジュニア男子】
1位 中村 俊介(木下アカデミー)211.48点
2位 森本 涼雅(木下アカデミー)193.69点
3位 朝賀 俊太朗(大阪スケート倶楽部)189.07点
4位 垣内 珀琉(ひょうご西宮FSC)187.13点
5位 高橋 星名(木下アカデミー)183.93点
6位 花井 広人(邦和みなとスケート部)170.90点
7位 名倉 一裕(大阪スケート倶楽部)170.50点
8位 小河原 泉颯(倉敷FSC)167.46点
9位 佐藤 和那(邦和みなとスケート部)162.05点
10位 向野 慶(神戸ポートアイランドクラブ)158.72点
11位 田内 誠悟(富士FC)156.83点
12位 三島 舞明(愛知みずほ大瑞穂高校)156.20点
13位 小島 志凰(浪速中・高スケート部)154.73点
14位 磯和 大智(京都宇治FSC)153.03点
15位 大村 健太(岡山FSC)151.33点
16位 織田 信義(大阪スケート倶楽部)151.20点

【ジュニア女子】島田麻央が2連覇

女子はすでに出場を決めているシードの島田麻央を除く13名が、全日本ジュニアへの出場を決めた。

優勝は去年に続いて2連覇を果たした島田麻央。JGP2連勝と、島田は今季も強さを見せ続ける。

レディー・ガガの『Americano』を情熱的に踊った島田麻央
レディー・ガガの『Americano』を情熱的に踊った島田麻央

SPはレディー・ガガの『Americano』を情熱的に踊り、ジャンプを全て降り、73.21点を出す。

自己ベストに迫る点数で首位スタートする。

圧倒的な強さで優勝した島田
圧倒的な強さで優勝した島田

続くFSではまだ見ぬ、トリプルアクセルと4回転トゥループのW成功へ挑んだ。

冒頭のトリプルアクセルを完璧に成功させるが、続く4回転トゥループは惜しくも転倒となってしまった。

それでも、異次元のスピンと安定した滑りで139.64点をマークし、圧倒的な強さで優勝を果たした。

3月から身長が伸びたと話す島田
3月から身長が伸びたと話す島田

大会の翌日に15歳の誕生日を迎えた島田は、3月の世界ジュニアから身長が3センチほど伸びたそうだ。

来年から高校生になる島田は「全日本ジュニアはトリプルアクセルと4回転、2本を決めたい」と闘志を燃やす。

今大会でさらなる成長を見せた柴山歩
今大会でさらなる成長を見せた柴山歩

2位は柴山歩。

「JGPの悔しい思いがより成長に繋がった」と語る柴山。

今大会ではFSでスピン全てレベル4、コンビネーションも3つ入れ、さらなる成長を見せた。

柴山は、より大人っぽいの表情を身に着けるため日々研究しているという。

村元哉中さんやアイスダンスの選手でハナ・イムさん(韓国)、振付師のケイトリンウィーバーさんの表情を参考にしていると話した。

「SP・FSノーミスで揃えて、嬉し涙の全日本ジュニアにしたい。絶対に全日本に出場する」と意気込む。

3位表彰台にのぼった和田薫子
3位表彰台にのぼった和田薫子

3位は和田薫子。

「緊張していた」というSPは、ジャンプを全て着氷させ、4位で折り返す。

FSでもジャンプ力が向上し、大きなミスなく滑り切り、総合3位で終えた。

衣装のポイントは胸元にある結晶だという和田
衣装のポイントは胸元にある結晶だという和田

テーマは「心の闇」。YouTubeで曲を検索したときに出てきたPVを見て、心の闇の表現につなげているという。

「全日本ジュニアは楽しむことと、SP・FS両方揃えて、去年は出られなかった憧れの全日本選手権の舞台で滑りたい」と意欲を見せた。

ジュニア1年目の上薗恋奈は4位に
ジュニア1年目の上薗恋奈は4位に

4位に上薗恋奈。

ジュニア1年目の上薗は、ここまでJGP初優勝と勢いに乗り、今大会でも堂々の滑りを披露して上位に食い込んだ。

表現力に定評がある上薗は、「全日本ジュニアでいい演技をして、全日本選手権に推薦してもらえるように頑張る」と語った。

櫛田育良は今大会でシーズンベストを更新
櫛田育良は今大会でシーズンベストを更新

5位は櫛田育良。

今大会でシーズンベストを更新した櫛田。

「大きなミスなく、演技をまとめられて満足した」と振り返った。

キスクラで笑顔を見せる櫛田
キスクラで笑顔を見せる櫛田

FS当日に誕生日を迎え16歳になった櫛田は、身長が165センチになり「まだまだ身長が伸びている」という。

その身長を生かした大人っぽい演技で、全日本ジュニア上位を狙う。

急成長中の山田恵が6位に
急成長中の山田恵が6位に

6位は急成長中の山田恵。

近畿ブロック優勝者として挑んだ西日本で笑顔弾ける演技を見せた。

カメラに向かってピースする山田
カメラに向かってピースする山田

調子が最近悪かったこともあり、「不安もあったが楽しく滑れた」と振り返り、自己ベストを更新した。

ジュニア女子表彰台(西日本選手権)
ジュニア女子表彰台(西日本選手権)

【ジュニア女子】
1位 島田 麻央(木下アカデミー)212.85点
2位 柴山 歩(木下アカデミー)185.18点
3位 和田 薫子(グランプリ東海クラブ)184.88点
4位 上薗 恋奈(LYS)183.36点
5位 櫛田 育良(木下アカデミー)180.51点
6位 山田 恵(木下アカデミー)176.37点
7位 横井 きな結(中京大学)175.13点
8位 岡田 芽依(名東FSC)170.59点
9位 村上 遥奈(木下アカデミー)162.58点
10位 北谷 美結(京都宇治FSC)145.25点
11位 杉山 菜那(中京大中京高校)140.92点
12位 重田 美星(神戸ポートアイランドクラブ)139.68点
13位 大坪 瑚子(邦和みなとスケート部)134.77点
14位 髙原 奈々子(福岡フィギュアアカデミー)134.76点

【ジュニアアイスダンス】全組、全日本ジュニアへ

エントリーした全組が全日本ジュニアへの出場を決めている。

【ジュニアアイスダンス】
1位 山下 珂歩・永田 裕人(日本大学)123.24点

優勝は山下珂歩&永田裕人組。

ミスがあったものの楽しくできたと語り、次の課題も見つけることができたと振り返る。

山下珂歩&永田裕人組の衣装にも注目
山下珂歩&永田裕人組の衣装にも注目

FDのテーマは「光と影」。

衣装は大会毎にパーツが足されていくそうだ。

「全日本(ジュニア)では今日のミスを修正して両方納得のいく演技がしたい」と話し、全日本ジュニア優勝を掲げる。

その先の世界ジュニア、バーバリアンオープンに出るのが目標と意気込んだ。

全日本までの道の詳しい概要はフジスケでhttps://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/index.html
FODで全選手・全演技LIVE配信

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班