舌がんを患い、克服した画家・蔵野由紀子さんの展示会が熊本市で開かれていて、そのリアルな描写の作品は生きることの素晴らしさを表現している。

高校の美術教師時代に舌がん経験

熊本市を拠点に活動する画家・蔵野由紀子さん。

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大学で美術を学んだあと、高校の美術教師として働いていたが、2015年に舌がんを患った。蔵野さんは「口内炎のような痛みがかれこれ1カ月ぐらい治らないというのに気づいて、そんなに目立ったものではないなと思っているうちに、周りが白く膨れた」と当時を振り返る。

舌がんの手術は12時間に及び、舌の再建のために皮膚の一部を移植するなど、体には傷痕が残った。

蔵野由紀子さん:
体がどんなふうになったとしても生きていければ、子どもの成長が見られれば、そして絵が描ければ幸せだなあって

「つなぎとめた命を、絵を描くために使いたい」。蔵野さんは画家として創作活動を再開した。

リアルな描写 身体や世界の輝き描く

熊本市東区のギャラリーでは蔵野さんの展示会が開かれている。

代表ともいえる「目」をモチーフにした作品は自分と子どもの目で、人間の感性を刺激する多様な質感の目の粘膜やまつげなどを鋭い感覚で描写している。

チューリップの花は、まるで万華鏡をのぞいたような現実と幻想のはざまを表現。

他にも終わりが近い命の中にも小さな希望があることを表現した作品など、新作19点を含む35点が展示販売されている。

観覧客は「よく観察されてしっかり描いているなという感じがします。生命感というか生き生きとした感じがするんじゃないかと思います」と話し、リアルな描写の中に力強さを感じているようだった。

画家・蔵野由紀子さん:
思っていた以上の輝きをもっている自分たちの身体とか、この世界のあり方とか、そういったところに気づいてもらって、感動してもらえたらいいなと思って描いています

(テレビ熊本)

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