かつて中国で習近平氏のライバルと呼ばれていた人物が突然の死を遂げ、驚きとそのニュースの扱いをめぐり、憶測が広がっている。

「お悔やみの言葉」寄せられたコメントは閲覧できず…

死亡したのは、2023年3月まで“中国No.2”の地位にあった、李克強前首相(68)。

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国民の人気も高かったとされる、李前首相の訃報。
中国国営テレビは朝の国際ニュースで、主要ニュースを一通り報じ終えた放送開始の約40分後に伝えた。


中国国営テレビ:
(李克強氏は)“突発的な心臓疾患”を発症し、応急処置を施したものの、27日の午前0時10分に上海で死去しました。

報じられた死因は“心臓発作”で、滞在先の上海で異変に見舞われたという。

経済に明るく、“将来の最高指導者候補”とされた時期もあった李前首相は、57歳で中国共産党序列No.2に昇格。首相に就いてからは日本との関係構築などにも尽力した人物。

松野官房長官:
李克強前国務院総理は、日中関係において重要な役割を果たされました。衷心より哀悼の意を表します。


アメリカのブリンケン国務長官も哀悼の意を表明するなど、国際社会に追悼の声が広がる一方で、母国・中国での扱いは小さいものだった。

中国でのNHKの国際放送では、李前首相の足跡をニュースで報じている間、カラーバーになる一幕も見られた。

また、日本大使館が中国のSNSに“お悔やみの言葉”を寄せると、1600件以上のコメントが寄せられたものの、なぜかそのコメントを読むことはできなくなっている。

「天は見ている」メッセージの意味は?

こうした扱いの背景にあるとみられるのが、習近平国家主席と李前首相の関係。

今年3月、習政権が異例の3期目を迎える中で、李氏は首相を退任。
職員らに退任のあいさつをしているとされる動画では、李氏らしき人物が次のような言葉を発していた。


李前首相とされる人物(SNSで拡散されている動画より):
人々はよくこんなことを言います。“人がしていることは天がしっかり見ている”と。お天道様は見ているようです。

“天は見ている”という言葉が何を指すのかは不明だが、習主席が絶対的な権力を固める中、李前首相の存在感は徐々に低下していた。

27日に開かれた中国外務省の会見では、海外メディアから李前首相のくわしい病状や、今後の葬儀について質問が飛んだが、事務的な回答に終始した。

毛寧報道官:
これから発表する情報を確認してください。
(「イット!」10月27日放送分より)