コンクリートの柱に突き刺さる無数の注射器は、ひび内部に補修剤をゆっくりと注入する「低圧注入工法」という補修工法に必要な器具だったーー。

コンクリートに突き刺さる無数の注射器

番組に寄せられた“ある写真”には、コンクリートの柱におびただしい数の物体が突き刺さっている様子が写っていた。

この記事の画像(7枚)

一見、注射器のようにも見えるこの物体は、なかなかインパクトがあるビジュアルだ。

神奈川・西湘バイパスの高架下で15日に撮影された写真
神奈川・西湘バイパスの高架下で15日に撮影された写真

この写真は、リニューアル工事が行われている神奈川・西湘バイパスの高架下で15日に撮影された。

橋の補修工事の一環のように思える注射器は、いったい何の目的で設置されたものなのか。

樹脂を注入してひび割れを埋める工法

NPO(民間非営利団体)法人・大分県コンクリート診断士会の児玉明裕理事は、「コンクリートの橋桁等にひび割れが発生しているものに対して、注射器を使って(樹脂を)注入して、ひび割れを埋めることをやっている」と説明する。

コンクリートの柱に刺さった無数の注射器の正体は、柱を補修するために欠かせない器具だったのだ。

児玉理事は、「一定の圧力で注射器につけたゴムの圧力で、ゆっくりと樹脂をひび割れの奥深くまで入れる必要がありまして、注射器のようなもので注入することが一般的になっている」、「一定の圧力で入れることで奥深くまで浸透する。ひび割れの奥の深さがわからないので、注入量が管理しやすい再注入とかが容易に可能です」と話す。

これは「低圧注入工法」と言い、注射器型の器具でひびの内部に補修剤をゆっくりと注入する工法。この「低圧注入工法」を採用することで、補修剤を構造物の内部に注入し、鉄筋とコンクリートの接着力を回復することができるという。

NEXCO中日本は、道路の安全を保つために欠かせないこの工事について、「西湘バイパス(早川IC付近)で現在大規模なリニューアル工事を行っており、その一環として、ひび割れなどの補修について、並行して進めています」とコメント。

この器具については、すでに撤去されているという。
(「イット!」 10月20日放送より)