アメリカのバイデン大統領がイスラエルに到着し、日本時間18日夕方から首脳会談が行われている。ガザ地区への地上侵攻の緊張が続く中、FNNは大規模攻撃当日の新たな映像を入手した。

“大規模攻撃当日撮影”映像に銃撃戦の様子

FNNが入手したのは、イスラム組織「ハマス」による大規模攻撃が開始された当日の10月7日に撮影された映像だ。

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映像には、何度も繰り返される銃声が響き渡るなか、車の陰に隠れながら、拳銃を手に前方の様子を伺うイスラエル側の自警団の姿が記録されていた。

映像の画面後方には幼児らしき姿も見える
映像の画面後方には幼児らしき姿も見える

後方には幼児らしき姿も映っていた。

この映像は、パレスチナ自治区・ガザとの境界から、約1キロ離れた街、スデロットにある警察署がハマス側に一時占拠された際の様子を捉えたものだ。

銃撃戦で警察官の1人が負傷。その場に倒れ込む中で仲間が救出に向かう緊迫した様子も収められていた。

肩に2発の銃弾を受けたというイスラエル側の自警団員の男性は、「ハマスは『イスラム国』と同じだ。私たちやあなたたちが殺される前に殺害しないといけない」と相手を非難した。

銃撃戦が繰り広げられた警察署にFNNのカメラが向かうと、現在は更地の状態になっていた。建物を奪還したイスラエル軍が、ハマスの戦闘員が中にいる可能性も考慮して、建物ごと取り壊したためだ。

記者が取材中にも空襲警報が鳴る(17日イスラエル)
記者が取材中にも空襲警報が鳴る(17日イスラエル)

そして、最初の襲撃から10日が過ぎた17日も、記者が取材中に空襲警報が鳴る状況。いまだ“報復の連鎖”が止むことはなかった。

爆発が起きた病院では500人以上が死亡

一方、ガザ北部で17日夜に撮影されたとされる病院の映像には、暗闇に炎が浮かび上がる様子が映っていた。

この病院で爆発が起こり、ハマス側はガザ住民ら500人以上が死亡、数百人が負傷したと主張している。

この爆撃は、一連の戦闘において最大の犠牲者が出たとも一部で言われている。しかし、どちらが攻撃したかについては、ハマスとイスラエル双方の主張が真っ向から対立している。

ハマス側が「イスラエル軍が新たな戦争犯罪を犯した」と批判しているのに対し、イスラエル軍はハマスと共闘している過激派組織「イスラム聖戦」が放ったロケット弾の誤射が原因だと発表。そして、その証拠だとする映像や、ハマス側の会話を傍受したとする音声を18日午後に公開した。

(イスラエル軍が公開した音声)
A氏「パレスチナジハード組織から来たミサイルか?」
B氏「そうみたいだ」
A氏「ミサイルの破片が我々のものでイスラエルのものとは違う」

バイデン大統領とネタニヤフ首相の会談は地下シェルターで実施か

激しい“情報戦”が繰り広げられる中、アメリカのバイデン大統領がイスラエル入りした。ネタニヤフ首相との会談では、人道危機の回避策や人質問題への対応策が焦点となる。イスラエル訪問後にヨルダンで予定していたパレスチナ自治政府のアッバス議長らとの会談は、ガザの病院爆撃を受け、急遽延期された。

バイデン大統領とネタニヤフ首相の首脳会談は、ハマスのロケット弾攻撃があるとの見方もあり、地下のシェルターで行われているという。現地の最新情報(18日18時頃)によると、首脳会談の冒頭、ネタニヤフ首相はバイデン大統領に対し、「この戦闘の当初からのサポートを感謝する。あなたはハマスを“完全な悪”と表現したがその通りだ」と発言。一方のバイデン大統領は、「31人のアメリカ人を含む1300人が犠牲になった。イスラエルが自分たちを守るために必要なものが手に入るようにしなければならない」、「病院の攻撃は、私が見聞きした情報によれば、イスラエルではなく別のチームによって行われた」と述べた。

バイデン大統領は首脳会談のほか、犠牲者の家族や人質に取られた人々の親族などと面会し、その後に記者会見を行う予定となっている。

今回の訪問で難航している人質の解放や、ガザ地区からの民間人の退避に向け一定の道筋をつけたい考えだが、多くの犠牲者を出した病院への攻撃によって、状況は不透明となっている。
(「イット!」 10月18日放送より)