12日もイスラエル軍は、イスラム組織ハマスの拠点があるガザ地区への空爆を続けた。そのハマスは、“人間の盾”にするために、多くのイスラエル市民を連れ去り、その様子を撮影した映像を投稿したが、今回、投稿された映像に自分の妹の姿が映っていたという男性家族に話を聞いた。

ガザ北部の住民に警告「24時間以内に南部へ退避すべき」

イスラエル軍は、イスラム組織ハマスの拠点を破壊するため、ガザへの空爆を続けている。

イスラエル軍によるガザ地区への攻撃(12日)
イスラエル軍によるガザ地区への攻撃(12日)
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12日、ガザ地区を撮影した映像には、衝撃でカメラが大きく揺れるほどの激しい攻撃により、建物が破壊される様子が映っていた。

国連は新たにイスラエル軍から、ガザ北部の住民、約110万人は24時間以内に南部へと退避すべきだとする警告を受けたことを明らかにした。

ハマスの投稿動画で妹を発見

ハマスの戦闘員は、イスラエル市民らをガザに連れ去り、その様子を次々と投稿。そこにはどのような狙いが隠されているのだろうか。

両手を合わせて、怯えるモラン・ヤナイさん(40)
両手を合わせて、怯えるモラン・ヤナイさん(40)

草むらの中で両手を合わせておびえる女性は、ハマスによってイスラエルから連れ去られた女性の1人、モラン・ヤナイさん(40)。

この動画を見つけたのが、ヤナイさんの兄・リオンさんだ。

兄・リオンさん:
(今の彼女の気持ちは)想像することができません。彼女が今どこにいるのか想像もつきません。彼女が安全な場所にいて、けがをしていないことを心から願っています。
(動画に映っている女性が)彼女であることは間違いありません。

ヤナイさんの義姉:
彼女は命乞いをしていました…。

連れ去られたヤナイさんは、攻撃が始まった7日土曜日に、260人以上が殺害された音楽祭で、ジュエリーショップを出店していた。

襲撃当日の朝、赤く染まる空に向かって両手を広げるヤナイさん
襲撃当日の朝、赤く染まる空に向かって両手を広げるヤナイさん

当日の朝に本人が撮影していた動画では、赤く染まる空に向かって、両手を広げる様子も見せていたヤナイさん。

しかし、その後、動画からは「うわー銃撃が来た」「私も木の中から煙が見えた。木の中の煙…」「バーの中に隠れよう」「だめだめ」という声が聞こえてきた。

その後、ヤナイさんの両親に、妹が攻撃されていて逃げているという連絡が入った。その通話は数秒だったが、ヤナイさんは泣いて怖がっていたという。

その後、「なんとかどこかに隠れたが、(携帯の)バッテリーが切れている」と彼女から連絡があったが、それが最後の連絡だったという。

その後、ヤナイさんの兄は、SNSに投稿されていた妹の動画を見つけた。

ヤナイさんの兄・リオンさん:
モラン(ヤナイさん)あなたが無事であることを願っている。

ヤナイさんの義姉:
私たちは決して諦めないことを約束します。

イスラエル市民を連れ去り、その動画をSNS上に相次いで、投稿するハマス。

その狙いについて、放送大学の高橋和夫名誉教授は「多くの人質を取ることによって、イスラエル軍の攻撃をけん制するためです。それが“人間の盾”になるぞというメッセージを発したんだと思います」と指摘する。
(「イット!」 10月13日放送より)

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