9日正午ごろ、JR仙台駅に向かう東北新幹線の車内で、「薬品のようなものが漏れた」と通報があり、子どもを含む4人がけが、2人が体調不良を訴え病院に運ばれた。逃げ場のない列車内で何があったのか。

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仙台駅騒然…新幹線車内で「液体漏れ」

取材班が一報を受けて現場に向かうと、仙台駅周辺は多くの人でごった返していた。複数の緊急車両がサイレンを鳴らして続々と到着する。

何があったのかと周りに聞く人や、スマホを構えその様子を撮影しようとする人など、一帯は騒然としていた。

消防によると通報が入ったのは9日正午ごろ。東北新幹線はやぶさ52号東京行きの車内で、「薬品のようなものが漏れた」との内容だった。JR東日本によると列車が仙台駅に到着する直前、黒いバッグから薬品が漏れているのを乗客が発見。非常通報装置が作動した

「7号車から煙!」駅員の叫び

乗客が撮影した写真には、車両の出入り口付近で黒いバッグから煙が出ているのがはっきりと分かる。撮影者によると「新幹線がホームに止まった後、駅員が『7号車から煙!』と叫んだ。現場に向かうと、ドア付近に置かれたバッグから煙のようなものがあがっていた」という。

バッグからあがる煙 撮影:ながいまる
バッグからあがる煙 撮影:ながいまる

発生から約2時間後の午後2時ごろバッグは撤去され、警察と合同で不審物の解析に当たっている。

物々しい雰囲気の仙台駅に、居合わせた人からは「怖かった」「突然で何したらいいのか分からない」「無事に帰れればいい」といった、様々な声が聞かれた。

「逃げ場ない」車内で何が…

逃げ場のない列車内での非常事態。いったい何があったのか。
警察によると、バッグの持ち主は地質調査をする会社に勤める東京都の40代の男性で、仕事で薬品の入ったペットボトルのようなものをバッグに入れ、運んでいたとみられている。
別の乗客から「荷物が液漏れしている」と言われ、乗っていた6号車から7号車と間の乗降デッキにバッグを運んだところ、通路に液体が漏れ出てしまったというのだ。

この液体について警察は「地質調査に使うもので、配送や所有が禁止されているものではないとみられるが、人体に害があるかどうかなどについては解析中」としている。

これまでに確認されているけが人は4人。トイレに行こうとした男の子が通路に漏れ出た液体で滑って転倒。液体に触り、尻にやけどを負ったほか、この男の子を守ろうと、父親が両足首にやけど、母親も左手にやけどを負った。

また、乗客の30代女性1人と駅職員の20代男性が体調不良を訴え、病院に搬送されたという。2人は煙を吸ったものとみられている。

薬品を運んでいた男性も両足にやけどなどをして病院に運ばれたが、警察がすでに話を聞いている。警察は、男性が薬品を故意にまいたわけではないとみているが、配送の仕方が適切だったかなど、業務上過失致傷の疑いも視野に捜査を進めている。

(仙台放送)

仙台放送
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