自民党の稲田朋美幹事長代理と立憲民主党の小川淳也税調会長は8日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜午前7時30分)に出演し、岸田文雄首相が「減税」を掲げて衆院解散・総選挙に踏み切るのではないかとの臆測をめぐって意見を戦わせた。

この中で、自民党の森山裕総務会長が1日に「税に関することは国民の審判を仰がなければならない」と述べ、減税が解散の大義になり得るとの認識を示したことが取り上げられた。

これについて稲田氏は「解散は総理の専権事項」、「減税で解散することは誰も思っていない」と話す一方、「減税でということではなく、税という大きな国の形を決めることについて解散で信を問うことはあり得ると(森山氏は)言っているだけだ」との認識を示し、森山氏の発言に一定の理解を示した。

一方、小川氏は「日本政治の劣化の象徴が減税で(国民の)信を問うということだ。みんな透けて見えている。人気取り以上の何物でもない」と断言し、減税解散をけん制した。

番組コメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)も「減税を大義に掲げて選挙はありえない。それは人気取りとしか思えない」と指摘した。

以下、番組での主なやりとり。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
改めて岸田首相の発言を紹介する。岸田首相は7日「給付措置、減税、あるいは社会保障の負担軽減、さらにはインフラ投資をはじめ、あらゆる手法を使ってこの物価高を乗り越える」と発言した。その財源として見込まれているのが、過去最高を更新した2022年度の税収の上振れ分、約6兆円といわれている。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
本当に野党に頑張ってもらいたいが、与党は選挙を意識してなのか、なんとなく一律減税という、国民にすごく喜ばれる、聞こえのよいことを言い始めている。(野党は)これは何のためなんだということは、ぜひしっかり追及してほしい。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
いま議論にあった減税を打ち出す背景として、実は選挙を考えてのことなのではないか、という意見が出ている。自民党の森山裕総務会長は先日、「税に関することは国民の審判を仰がなければならない」と発言して、(政府が今月まとめる経済対策に)減税措置を盛り込むのであれば、それが衆院解散の大義になり得るとの考えを示した。減税は解散の大義になるのかどうか。
            
小川淳也氏(立憲民主党税調会長):
これはもう日本の政治の劣化の象徴だ。亡くなった安倍晋三氏(元首相)が残した一つの負の遺産だ。2014年、当時予定されていた消費増税を延期するので解散すると…。
            
松山キャスター:
(消費税率の)10%への引き上げを延期すると、安倍氏が表明した。

小川氏:
あの時、我々も含めて国民の多くが、なぜこんなことで解散しなければいけないんだと(思った)。これこそ人気取りではないかとの議論が相当あった。私は森山裕氏を尊敬しているが、森山氏ほどの方でも、こういうことを平気で言うような時代になっている。議会政治は本来、国民負担などを納得いただくために議会が存在し、そこで合意を得られるものを実行に移す。百歩譲って、減税して、これこれの給付を切り下げて、これで国の財政を正常に運営していきたいのでどうだと言うならまだしもだ。減税して給付をして、その分赤字国債を積み増すから(国民に)信を問うでは、お話にならない。日本政治の劣化の象徴がこの減税で解散して信を問うことだ。みんな透けて見える。こんなものは人気取り以上のものでもなんでもない。

橋下氏:
減税が解散の大義になることはありえない。だって、国民は誰も減税に反対しない。

松山キャスター:
基本的には減税を歓迎する人が多い。

橋下氏:
そう。でも、ここにいろんな問題があることを議論するのが本来の政治家の役割なのに、減税を大義に掲げて選挙なんてありえない。ただ、小川さん、安倍さんの話は、あれは法律でもう増税が決まっていた。だから国民負担を求める時だけの解散ではなくて、法律で決まっている流れをやはり変えるということであれば、これは解散の大義があると僕は思う。ここはいろいろ考え方あると思う。今回の一般的な減税は別に流れが決まっている話でもなく、減税やろうと思ったらいつでもできる。何かが決まっているわけでもない。これ(減税)は解散をいちいちやって国民の信を問う必要はない。稲田さん、政府・与党で議論してほしいのは教育の無償化だ。教育の無償化にかかるのは3兆、4兆円で、地方も税収上がっているので、国と地方で折半すれば、国は1兆円台、2兆円も要らない。子どもが生まれてから大学を卒業するまで教育の無償化をやろうと思ったらできる。これぐらいワンチャンスでやってほしい。こんな一律減税ではなくて…。

稲田朋美氏(自民党幹事長代理):
まだ岸田首相は減税と言ったわけではなく、いろんなメニューを出している。これから(の議論)だということがひとつ。今回、目的は決まっていて、一つは急激な物価高で苦しんでいる人たちに対して、低中所得者に対して、しっかりと対策を打つ。もう一つはやはりこのデフレから脱却(する流れ)を、あと戻りさせないという大きな目標がある。そのためにいろんなことをやるということだ。森山先生も、減税で(解散)ということではなく、税という、この大きな国の形を決めることについて、解散で信を問うことはあり得ると言っているだけで、減税で解散することは誰も思っていない。それに解散は総理の専権事項なので、私はコメントする立場ではない。

橋下氏:
でも、本当に解散するのなら、社会保険料改革、医療保険改革などで今、高齢者は年齢により負担が軽減されているから、現役や若者世代と同じような負担にして、若者が健康保険料の拠出金で数千億円も高齢者に取られている。こういうのをやめますよ、とかいうことで解散をやるならわかるが、減税でとは、人気取りとしか思えない。

日曜報道THE PRIME
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今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論!「当事者の考え」が分かる!数々のコトバが「議論」を生み出す!特に「医療」「経済」「外交・安全保障」を番組「主要3テーマ」に据え、当事者との「議論」を通じて、日本の今を変えていく。
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