テレビ長崎が1969年(昭和44年)に開局してから撮影してきた映像とともに、長崎の歴史を振り返る「タイムトラベル長崎」。約50年前の取材映像を見ると、時代とともにネコを取り巻く環境の「変化」が見えてきた。

長崎に長年愛されたネコたち

長崎のまちは温暖な気候や坂道、路地が多いことから、ネコが暮らしやすい環境と言われている。長崎市の「尾曲がり猫神社」に代表されるように観光資源のひとつにもなっている。

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テレビ長崎に残る最も古いネコの取材映像は、49年前の1974年に撮影された。
長崎市の端島、通称・軍艦島。良質な石炭で日本の近代化を支え、最盛期には約5,300人が暮らしていたが、1974年に閉山。人々が島を離れる際、多くのネコが置き去りにされた。

1986年、映画「子猫物語」大ヒットを受け、長崎市でネコのかわいさを競うコンテストが行われた。「子猫物語」は、ムツゴロウさんこと畑正憲さん監督の映画で、子猫チャトランの冒険物語だ。

コンテストでは、特に生まれたばかりの子猫たちがチャトランに劣らぬかわいさで審査員の心をつかんでいた。

「かわいさ」ではなく「重さ」で勝負のコンテストも。その名も「ビッグネコちゃん大会」。1999年、飼い主自慢のネコ60匹が集合する中、10kg近い大物も登場し、会場を沸かせるネコも。優勝ネコにはキャットフード半年分が贈られた。

“ネコの首輪”に賛否両論の声

1983年、野良ネコによる騒音やふん尿被害が深刻になる中、飼いネコと野良ネコを区別するため「ネコに首輪」をつける動きが広がった。

ーー「ネコに首輪を」について、どう思いますか?

長崎県民:
してもらったほうがいい。うちなんか迷惑しているので

長崎県民:
なんかネコがかわいそう

ペットショップの人:
ぽつぽつ首輪を求める人が増えている。商売上はありがたい

人懐っこい駅長ネコの「ネル」

長崎の街で生き、街で愛されたネコたちもいる。長崎市と西彼・長与町にまたがるJR道ノ尾駅の駅長ネコ「ネル」だ。特技は「昼寝」、よく寝ていることから名付けられた。

あくまで“非公認”の駅長のネルくん。構内のパトロールは欠かせない日課だが、券売機の前で昼寝してしまうことも。どこか憎めない、愛らしい姿に、遠方からネルくんに会いにくるファンも少なくなかった。

ネル駅長のファン:
人懐っこいところがあって、呼べば応えてくれる。そういうネコだから多くの人にかわいがられているんだと思う

当時の駅長・江頭一夫さん(2017年取材当時)が作ってくれた段ボール製の“ネルくん専用の家”がお気に入りだったネルくんだが、現在は駅長を引退し、飼いネコとして暮らしている。

お昼寝が大好きな「クッキー」

2018年には商店街で愛されたネコに出会った。

長崎市の観光名所・眼鏡橋近くのアルコア中通り商店街のざぼん屋さんの看板ネコ「クッキー」。

くろせ弘風堂・黒瀬寿子さん(72※2017年取材当時):
市場に捨てられていて、あまりにも小さかったので育てられるか考えました

クッキーもお昼寝が大好きで、天気がよい日は外に出て日なたぼっこするのが日課だった。

くろせ弘風堂・黒瀬寿子さん(72※2017年取材当時):
よかったね~。きょうたくさん太陽出てね~ふふふふ

あれから5年たった2023年9月、再び店を訪ねるとクッキーの写真や版画・絵などが飾られていた。

くろせ弘風堂・黒瀬寿子さん:
そんなにたったような気がしない。ことしが3回忌だから、今でも思ってくださっているってのはクッキーも幸せだったと思う

推定19歳だったクッキーは、人間だと約90歳、大往生だった。クッキーの映像を黒瀬さんに見てもらった。

くろせ弘風堂・黒瀬寿子さん:
うれしい。クッキー…。うそみたい。元気やったよね。でも今でもずっと一緒にいるような気がしているのよね。ついクッキーにお願いするんですよ、何事かあるとクッキーに頼む。クッキーと私はずっとペアだったから

クッキーが死ぬ直前、不思議なことがあったという。

くろせ弘風堂・黒瀬寿子さん:
最後は中通りの方にごあいさつをするみたいに、ずっと私をひっぱって(中通りを)周ったんです。あれが皆さんへの「お世話になりました」っていう気持ちだったのかな。しょっちゅう思い出す

店内の写真は観光客やクッキーのファンから贈られた。写真に声を掛けたり、手を合わせに訪れる人もいて、クッキーは今なお“看板ネコ”であり続けている。

多くのネコが暮らすまち・長崎。半世紀近い時間を振り返ると、ネコをみつめる地域社会の在り方の変化をうかがい知ることができる。

(テレビ長崎)

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