富山・高岡市の市長ら6人が9日から訪米。その6人中、4人がビジネスクラスに搭乗することに、財政難から一部で不便を強いられている市民から憤りの声が上がっている。

市長「公務内容、飛行時間や時差など考慮してビジネスクラス」

憤りの声が上がるのは、各地で判明する自治体の長らによる“高額な海外訪問”だ。

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富山・高岡市でも、9日から角田悠紀市長ら6人がアメリカを訪問。そのうち4人の飛行機の座席はビジネスクラス。

1人あたりの旅費は、エコノミークラスを利用した前回訪問時の約31万円に比べ、約6倍の約183万円に跳ね上がっている。

角田市長は、3日の定例会見で「公務の内容、飛行時間や時差などを考慮してビジネスクラスとしたものであります。未来につながる交渉に信念を持って向かいます」と説明。

この選択に市民からは、「ずうずうしい」「ありえなーい!全くありえません!」といった怒りの声が上がっている。

高岡市民が憤る背景には、老朽化などにより、コミュニティーバスなどの公共サービスの一部がストップしている現状があり、高岡市民(50代)は「(高齢の母親が)ちょっと出かけられなくなった」と、日常生活に支障が出ている現実に困った表情を見せた。

市民が不便を強いられる中、あと3日と迫るアメリカ出発。憤る市民の声を追跡取材したーー。

市は2017年に約40億円の財源不足が判明

高岡市役所の1階から2階にあがるエスカレーターは、老朽化と転倒防止のため、2018年から利用を停止している。

エスカレーターが停止中のため手すりをつかみながら階段を登る高齢者
エスカレーターが停止中のため手すりをつかみながら階段を登る高齢者

そのため、高齢者も手すりをつかみながら、エスカレーターの隣にある階段をのぼっている。

この状況に、50代の高岡市民は「高齢者用の相談をしたい時は2階だから、余計2階に行くためにエスカレーターはつけるべきだと思う。エレベーターは遠すぎて、年寄りにはわからないし、階段だとのぼれないし、復活しましょうよ!」と話す。

また市民の生活の足として低価格で利用できた地域のコミュニティーバスも、財政難を理由に運行を停止している。

車の運転をしない高齢者の中には、移動手段が歩くしかないという人もいる。

70代の車を運転できない高岡市民は、「私ら車乗れない人間だから、やっぱ不便。今、高齢者が多いもんで、歩けるばっかの人間じゃない…」と話す。

さらに、五福商会スーパー守山町店・浅野正幸社長は「コミュニティーバスがなくなって、足の悪い人とか、歩いて来られないもんだから。お客さんが少し減ってにぎわいが減った」と商店の客足にも変化があったことを明かした。

店の前にあったバス停がなくなったというスーパーでは、買い物に来られなくなった客のために、“社長”自ら配達を行うようになったというが、それでもお客さんの数は減ったという。

高岡市では2017年、新幹線整備をめぐる過度な投資などで、約40億円の財源不足が判明。現職の角田市長は、これまで財政健全化を推し進めてきた。

6日午後、市長のコメントが番組に届くも…

そうした中で、噴出したアメリカ訪問でのビジネスクラス利用。出発があと3日に迫る中、市長はビジネスクラスからの変更を考えていないのだろうか。

6日午後、番組にコメントが届いた。
「今回は旅費支給条例に照らし、公務の内容や飛行時間を考慮して、ビジネスクラスを選択しています。11月に予定している台湾訪問については、同じ理由から判断し、エコノミークラスにて訪問予定です。本市の国際交流が進化できるよう全力で努めて参ります」

70代の高岡市民は「(アメリカ訪問で)仕事つかんできて、還元されるなら、しっかり勉強してくれたなと思えるものがあれば、後から(ビジネスクラスでも)よかったのかなと。今の時点ではちょっとね…」と話した。

市民から疑問や怒り声が上がっている市長らのビジネスクラス利用。訪米後、高岡市民へフィードバックされる“成果”が注目される。
(「イット!」 10月6日放送より)