西九州新幹線の経済効果に期待する地域がある反面、並行在来線沿線では特急列車が激減し利便性が低下。2年後の2025年には特急はさらに減る見通しで、沿線生き残り“苦肉の策”として駅周辺の再開発が計画されている。
特急列車45本が14本に激減
西九州新幹線の開業に伴い並行在来線となった長崎本線の江北 - 諫早間。
この記事の画像(8枚)1年前まで上下約45本だった特急列車は、14本まで減っただけでなく、長崎まで行かずに博多から“肥前鹿島まで”になり、利用者は大幅に減少した。
鹿島市民からは「電車の時間(本数)が少なくなっているので大変。もっと増やしてほしい」「1時間くらい待ったり…結構大変ですね」と不満の声も聞かれた。
肥前鹿島駅の2022年度の乗降客は1日あたり872人。コロナ前の2019年度を300人近く下回っていて、年間で約11万人減ったことになる。
列車の運行を担うJR九州。古宮洋二社長は並行在来線について「江北から鹿島までの間は、特急が減ったことによってお客様のご不便を少しでも少なくするように、普通列車を増発している。1時間に1本、江北 - 鹿島間を動かして、江北駅で特急と接続する。可能な限りやってきた」と話した。
運行サービス維持は「3年間」
一方、並行在来線の区間ではさらなる利便性低下の懸念も。
県とJR九州など関係機関の合意では「一定水準の列車運行のサービスレベルが維持されるのは開業から3年間」となっている。
2025年には、特急はさらに減少し1日上下10本程度になる見通しだ。
沿線生き残りへ“苦肉の策”
そうした中、少しでもにぎわいを取り戻すために県と市が取り組んでいるのが、肥前鹿島駅周辺の“再開発”だ。
9月に公表された新駅舎のイメージでは、伝統工芸・鹿島錦を表現している屋根が使われているのがわかる。
駅前広場も合わせると広さは約1.5ヘクタールになる予定だ。
新駅舎について鹿島市民からは「結構期待しています。駅前が昔と比べてちょっと人の流れが少なくなって寂しい感じになっているので」と期待の声が聞かれた。
鹿島市・松尾勝利市長:
“スローツーリズムの拠点”。ゆっくりのんびりまちの風情を感じながら、心の赴くままに自分の時間を楽しんでもらう
市は駅を拠点に祐徳稲荷神社や有明海の干潟、酒蔵通りの日本酒など多くの観光資源を“ゆっくり”めぐる仕掛けを作り、観光客を呼び込みたい考えで、2025年度の着手を目指している。
(サガテレビ)