10月1日から消費税の控除に関する新たな制度・インボイスが始まる。制度開始にあわせ企業や個人事業者が対応に追われる中、“ある特需”が起きていた。
インボイスが開始目前
インボイスとは「消費税を誰に、何%で、いくら払ったか」、消費税率や税額などを正確に記載した請求書や領収書などのことだ。

例えば、洋服店が550円で仕入れた商品を1,100円で販売したとする。この時、洋服店は仕入れ先に品代の500円に加え消費税分50円を支払っている。そして商品が売れ、消費税分として100円をそのまま国に納めてしまうと、洋服店にとっては二重の支出になる。

この消費税の二重払いを防ぐために、今も税額の一部を控除する仕組みがあるが、10月以降はインボイスに対応しない取引は控除を受けられなくなる。
「今月中に納品を」注文殺到
インボイス制度の開始が10月に迫る中、大忙しとなっているのがハンコを扱う店だ。

インボイスに対応するには、請求書や領収書などに企業ごとに与えられる「登録番号」を明記する必要がある。番号の記載さえあればこれまでの書類を使い続けることもできるため、ゴム印の注文が増えているという。

山形市にあるハンコ店でも「今月中に納品してほしい」という注文に大急ぎで対応していた。
印章のカワグチ・川口聡代表取締役:
昨年暮れからポツポツと注文は来ていたが、9月入ってから駆け込みの注文が増えている。通常より社員が長い時間残って、残業という形で対応している

ゴム印の製造は機械と手作業で行われ、9月半ばからは毎日約100個作っている。デジタル化が進み「脱ハンコ」が叫ばれる中、忙しくてもうれしい特需のようだ。

印章のカワグチ・川口聡代表取締役:
印鑑業界自体が非常に厳しくて年々売り上げが下がっている。インボイスのおかげで若干売り上げが伸びている
インボイス制度の開始を前に、レジなどのシステム改修に追われる事業者もいて、慌ただしい月末となりそうだ。
(さくらんぼテレビ)