土地取引の基準となる「基準地価」が19日に発表された。大阪の注目は、「キタ」でも「ミナミ」でもなく「ニシ」だ。

この記事の画像(7枚)

基準地価が最も高いのは4年連続で「グランフロント」

19日に発表された基準地価。大阪府の商業地で地価が最も高かったのは、4年連続で“キタ”の代表「グランフロント」。南館は1平方メートルあたり2,300万円だ。

“ミナミ”でも、コロナによる打撃で下落が続いていた「デカ戎橋ビル」が 4.3%の上昇となるなど、観光需要の回復の影響がみられた。

この傾向は大阪府全体にも及んでいて、調査対象の府内166地点の価格が全て上昇、もしくは横ばいで、これは実にバブル期の1990年以来33年ぶりだ。

2022年からの変化を表す「上昇率」に着目してみると、トップ10のうち5地点がランクインしていたのが大阪市「西区」。この地点は西区の中でも中央区側に固まっている。

地価を押し上げている最大の要因は、大阪市を南北に貫く道路「なにわ筋」の地下を通る予定の鉄道「なにわ筋線」。

2031年に開業予定の「なにわ筋線」。JR大阪駅から南海本線の新今宮駅をつなぐ新路線で、西区には新たに「西本町駅」ができる予定だ。開通すれば、新大阪や関西空港へのアクセス向上が見込まれるほか、西区には、靭公園など緑も多いことからマンション需要が高まっている。

取材に対し、西区で子育てをする人は「西区は、にぎやかな街も近いですけど、ちょっと離れると静かになるので子育て世代はすごくいいかなって思います。今は賃貸マンションです。今購入したらいいですかね?検討はしています」と話した。

「新ビジネスのシグナル」

不動産鑑定士によると現在の西区の地価は割安で、これからさらに上昇するポテンシャルがあるということだ。

大阪大学大学院経済学研究科の安田洋祐教授は、大阪の商業地の基準地価の傾向について「新ビジネスのシグナル」とみている。

大阪大学大学院 安田洋祐教授:
地価の上がり方は2通りあるんです。1つは、今現在、もうかるようになっているので、もうかる分、地価が上がっていくミナミなど。このあたりはインバウンド需要でもうかっています。もう1つがこれから将来、さらにビジネスの機会が広がってもうかりそうだから、それを反映して今すぐ地価が上がると、それが今回の西区です。また、大阪では再開発が進む「うめきた2期」。街びらきはまだですが、地価が上がっています

大阪大学大学院 安田洋祐教授:
あとは、北大阪急行が延伸する箕面のあたり。インフラが整って、これから伸びていきそうなところの地価が上がる。それで何が起きるかというと、今後、新しいビジネスの拠点であったりとか、便利なショッピングモールなどができたりすることが期待されます。大阪全体を一つの都市圏で見た時に、今まではキタとミナミ、どっちかの拠点に集中していたのが、分散してくる。今回「ニシ」に注目しましたけど、大阪公立大の新キャンパスができるなど再開発が注目される「ヒガシ」も盛り上がってくるかもしれないし、どんどん複数拠点で都市圏がより多様に盛り上がっていくことが期待できます

(関西テレビ「newsランナー」2023年9月19日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。