岡山県で9月9日、保育園に送り届けるはずだった2歳の男の子を車に置き去りにし死亡させたとして、祖母が逮捕された。こうした痛ましい事態を防ぐためにも、保育施設では、登園・降園の確認を徹底することが重要になっている。

その対策として、山陰両県でも導入が進んでいる「デジタルアプリ」などICT(インターネットを活用した情報共有を実現する技術)活用の現状を取材した。

保護者・職員間の情報共有がより確実に

9月14日、島根・松江市のたまちこども園。朝の登園で、子どもたちを送り届けた保護者が、備え付けのタブレットを操作していた。この園で2023年8月から運用が始まった「登園・降園チェックシステム」だ。

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利用した保護者からは「連絡事項も全部アプリでできますし、今の時代には合っているのかなと思います」「保育園の方でもしっかり管理してもらえているだろうなと。システムが導入されたことで安心感が生まれました」など、導入を歓迎する声が聞かれた。

登園・降園状況を把握するアプリ、いわゆるICTの活用は、国が補助金を設けて推進していることもあり、松江、鳥取、鳥取・米子などの全ての公立保育施設で導入されるなど、山陰でも2、3年で急速に広がっている。

たまちこども園・野津和美保育教諭:
従来は手書きでずっと入力していて、照らし合わせという形だったんですけど、タッチパネルに変わってからは一目で全てが分かるようになりました

アプリによって全クラスの登園状況、欠席理由が一目瞭然。職員の間での情報共有がより確実に、迅速に行えるようになったという。

たまちこども園・野津和美保育教諭:
アプリでの入力もされていなくて、園児も園におられない場合は、電話をして保護者の方に確認を必ずしている

便利でも「ICTに頼りすぎない」

アプリはさらに、保育士にとってうれしい効果ももたらしていた。

これまで欠席や遅刻の連絡には手書きのノートや電話を使っていたが、アプリ導入後は保護者それぞれのスマホを使ってコミュニケーションが取れるようになった。デジタル化されたことで、保育士の負担軽減につながっているという。

だがその一方、施設側ではより一層気を付けていることがあるという。

たまちこども園・野津和美保育教諭:
アプリの操作に慣れない方が来られたりすると、入力ミスがあったり、入ってなかったりということもありますので、必ずICTに頼りすぎないように、部屋の方でもきちんと確認して、保護者の方と連携を取れるようにしているところです

デジタルに頼り切らず、職員がチェックを徹底することは変わらず必要だと言える。

山陰でもすでに多くの自治体でICT化が進み、アプリの活用は保育現場の“スタンダード”になりつつある。しかし「人は必ずミスをする」という前提のもと、ICTは補助的なものと考え、保護者、保育士など関わる人が複数の目で確認を重ねることを忘れてはいけない。

(TSKさんいん中央テレビ)

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