2022年9月、静岡県牧之原市の認定こども園で送迎バスに置き去りにされ、3歳の女の子が亡くなってから1年が経った。名古屋市東区の保育園で、その後の対策を取材した。

バスのエンジンを切ると車内点検のブザー

1年前の2022年9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園の送迎バスに5時間以上にわたって置き去りにされ、河本千奈ちゃんが重度の熱中症で死亡した。わずか3歳だった。

翌日の6日、静岡県警が業務上過失致死の疑いで家宅捜索。8日、送迎バスを運転していた当時の理事長兼園長が辞任し、12月には元園長ら4人が書類送検された。

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この事件を受け、国は「こどものバス送迎・安全徹底プラン」を定め、2023年度から送迎バスに安全装置の設置を義務付けた。違反した場合は、業務停止命令の対象になるとしている。

あれから1年が経ち、名古屋市東区の名古屋文化幼稚園では対策が進められていた。この幼稚園の園児は約320人で、そのうち約200人がバスで通っている。

2023年3月、新たに取り付けられたのが、子供の置き去りを防ぐ「安全装置」だ。

名古屋文化幼稚園の加藤紳一郎理事長:
今エンジンがかかった状態ですが、エンジンを切るとブザーの大きな音が鳴ります。運転手さんは一番後ろまで来て、スイッチを押さないとブザーが消えない。エンジンを切るたびに運転手さんは必ず一度後ろまで来るということになります

実際にエンジンを切ってもらうと、すぐに「車内点検を行ってください。子供は残っていませんか?」とアナウンスが流れ、車内の点検を促す。

加藤紳一郎理事長:
(職員は)いったん後ろまで来て、運転席までかえって下車するわけですけども、あわせて左右を確認しながら降ります

子供がいないかどうか、一席ずつ目視で確認。この幼稚園では、県の補助金を使用し、所有する3台全てのバスに取り付けが完了している。

ほかにも、保護者からアプリを通じて連絡を受けていて、実際の人数と漏れがないか確認している。

加藤紳一郎理事長:
(事故から)もう1年経ってしまったのかと。あれから行政含めて色んな対応を考えていただいて、いろんな情報もあったんですけども。これからもきちんと対策をして、事故のないようにしたいと思っています

家庭庁は、2023年6月末時点での都道府県別の安全装置の設置状況を発表していて、愛知県が61.3%に対して、岐阜県・三重県は40%台にとどまっている。

理由について岐阜県庁の子育て支援課は、「取り付け業者が不足している」「装置自体が欠品している」「夏休み中に設置予定の園が多かった」などと説明している。

(東海テレビ)

東海テレビ
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