77人が犠牲となった広島市の土砂災害から9年が経ったが、災害時のボランティアについて、大学と地域の社会福祉協議会が連携して「共助」のシステムをつくる協定を結んだ。

災害時、高齢化で“自助”が難しい地域で学生が“共助”を担う

加藤雅也アナウンサー:
広島経済大学です。こちらでは社会福祉協議会が、どういった組織で、どのようなことをしているのか説明をしています。学生も真剣な表情で資料を見ていますね

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市区町村の社会福祉協議会はボランティアを募集する役割を担う。9年前の土砂災害で大きな被害が出た広島市安佐南区の社会福祉協議会は広島経済大学と地域連携協力に関する協定を締結した。

8月23日 調印式
8月23日 調印式

安佐南区社会福祉協議会・上田昭人 会長:
全国からボランティアに来ていただく。それまでの繋ぎは誰かというと、やっぱり学生さん。地元では、ご存じのように高齢化が進んで、持つスコップの手が震えておられるという方が外に出ていっては余計に危ない

大学と社協の協定締結は中国地方でも珍しいケースで、これまで災害時の学生活動などで繋がってきた関係を学生や職員などの入れ替わりがあっても、知識を“継承”し未来に向けてより強固に築く決意の表れだという。

広島経済大学・石田優子学長:
災害時に備える地域連携の一例として、私たちががんばることが、より社会に発信しやすい一つのキッカケになってくれるのではないかと考えている

そして協定を締結した2日後に開かれたのが、学生を対象とした勉強会。

災害時のボランティアは今や重要な“助っ人”

安佐南区社会福祉協議会の担当者:
今はどちらかというと、世の中が助け合うとか、支えあうとか、声を掛け合う世の中じゃないんですよ。ボランティアは社会福祉協議会の中では非常に重要な位置を占めている

真剣な眼差しで話を聞く学生の中には、過去の災害の教訓を伝え、防災に繋げる活動をする2人がいた。

1人は、3月に東日本大震災の被災地で当時の状況を学んだ安本悠哉さん。

もう1人は、7月に地域の公民館で西日本豪雨などを振り返る写真展を開き、訪れた高齢者の避難時の悩みに耳を傾けた伊藤香さん。

どのようにして、災害による地域の被害を最小限に抑えるかを日々考えている2人は、勉強会のあと、災害時のボランティア活動について、社協の担当者と個別に意見交換した。

伊藤香さん:
まだ大きな災害がないから、私たちはボランティアに行っていないが、災害に関するボランティアの窓口は社協さんが立ち上げる?

安佐南区社会福祉協議会の担当者:
ボランティアセンターを社会福祉協議会が立ち上げて、地域の人や、事前登録をしているボランティアを集めたりする

社協と大学は、そのボランティアセンターの立ち上げなど、災害が起きた際に向けたシミュレーションなども今後、行っていきたいということだ。

加藤アナウンサー:
社会福祉協議会と連携することで動きは変わりそう?
伊藤香さん(広経大 災害を知り未来へつなごうプロジェクト):
もし、今、災害が起きて、地域団体とすぐに協力して動けるかというと、まだ難しいところがあるので、積極的に勉強会に参加して知識を増やしていきたい

大きな災害時に全国からのボランティアが集まるまでに、地域の学生らに率先して救援活動に参加してもらう試み。事前に何ができるか、お互いに理解をしておけば、“いざ”という時に立ち上がりが早くなる。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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