福島第一原発の処理水をめぐって、中国からの“迷惑電話”が後を絶たない。中国のSNSには、日本に迷惑電話をかける様子が相次いで投稿されている。なぜ、こうした嫌がらせをするのか。電話をかけた人たちを取材した。

日本語で「バカ野郎!」

福島第一原発で処理水放出が始まって以降、列島各地で相次いでいる中国からの無差別な迷惑電話。中国のSNSには、日本に迷惑電話をかける様子が次々と投稿されている。

投稿された動画には、「もしもし」と日本語で言った後、「誰が汚染水を放出していいと言ったんだ」と中国語で話す人物が映っていた。

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また別の動画には、「申し訳ありません、日本語で……」と言う電話に出た人に向かって、日本語で「バカ野郎!バカ!」と暴言を吐く様子もあった。

なぜ嫌がらせ電話?理由は「特にない」

東京にも迷惑電話に悩まされている店があった。

大田区の喫茶店「レグルス」には、中国の国番号「86」から始まる複数の電話番号から迷惑電話がかかってきていた。

留守電には音声読み上げ機能を使った日本語のメッセージが残されていた
留守電には音声読み上げ機能を使った日本語のメッセージが残されていた

留守番電話には、「なぜ核排水を海に排出するのですか?」という、音声読み上げ機能を使った日本語のメッセージの後に、中国語で「バカ野郎」とつぶやく親子とみられる声が録音されていた。

喫茶店「レグルス」の釜谷良一さんは、「不安だし、怖いです。なんで(この店が標的)なんだろうと思います」と話す。

喫茶店に電話をかけた目的を聞いたが…
喫茶店に電話をかけた目的を聞いたが…

発信元の番号に電話をかけてみると相手が出たので、この喫茶店に電話をかけた目的を聞いた。しかし、相手からは「特にない」という返答があっただけで、なぜこの喫茶店を標的にしたのかの回答は得られなかった。

中国外務省「状況を把握していない」

福島県内のラーメン店では28日朝、仕込みの最中にも中国からの迷惑電話がかかってきた。

中国語で何か話した後、日本語で「バイバイ」と言って電話を切った
中国語で何か話した後、日本語で「バイバイ」と言って電話を切った

電話に出ると、相手は英語で「中国語は話せるか」と言い、店の人が日本語で「もう一度よろしいですか?」と聞き返すと中国語で何か話し、その後日本語で「バイバイ」と言って電話を切った。

一方、名古屋市内の企業に迷惑電話をかけた福建省の女性に話を聞くと、「TikTokで他の人もこのような電話をしていたので、すみません」と回答し、謝罪した。

中国の国営メディアは、処理水放出をめぐる日本での抗議集会の様子をトップニュースで大きく報じているが、迷惑電話については触れていない。

28日午後に行われた中国外務省の定例会見では、日本への迷惑電話について、繰り返し質問が出たが、報道官は「状況を把握していない」と述べるにとどめ、詳細は語らなかった。

(「イット!」8月28日放送より)

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