厳しい暑さが続いている。長野県北部の飯山では、雨も少なくこの1カ月の雨の量が平年の2割にとどまっていて、すでに農作物に影響が出始めている。また、県中部の塩尻市のダムでは貯水率が33%にまで下がっている。県内では最近、「ゲリラ雷雨」が多発しているのに、なぜ、「水不足」なのか、気象予報士に聞いた。

水位が下がってしまった塩尻市の奈良井ダム
水位が下がってしまった塩尻市の奈良井ダム
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高温、雨不足…農作物に影響

今年最高の36.6度まで気温が上がった飯山市。

雨も少なく、農作物に影響が出始めている。

実が小さく色づいていないトマト。収穫できずに大量に残されていた。

「収穫は、2~3割減少、こんなことは今まで経験ない」と農家は悲鳴をあげている。

トマト畑(長野県飯山市)
トマト畑(長野県飯山市)

理由は「高温」と「雨不足」。飯山市では7月21日からの1カ月の降水量は21.5ミリで、平年の18%となっている。

キュウリ畑では、ひびが割れていた。

「流れちゃう雨は駄目なんだよ。流れちゃうから、しみないんだよ。秋野菜、高くなるんじゃないの?いま種のまきどきだから」と話す。

キュウリ畑にはひび割れが
キュウリ畑にはひび割れが

なぜ?ゲリラ雷雨多発も「雨不足」

今年、県内ではゲリラ雷雨が毎日にように起きた。北信地域でも何度も発生した。

ただ、岸本気象予報士によると「ゲリラ雷雨」は農家にとって「恵の雨」にならないという。

「ゲリラ雷雨のような局地的な激しい雨は、なかなか地面にしみ込まず川や低い土地に流れてしまう量が多いので、実は農家の方にとっては水不足になってしまうことが多い」と説明する。

「しとしと」と長時間降る雨は土に浸透していくが、ゲリラ雷雨のような短時間の激しい雨は深くしみ込む前に流れていってしまうという。

岸本慎太郎 気象予報士の解説
岸本慎太郎 気象予報士の解説

市は臨時の給水所を増設

市も、8月21日から臨時の給水所を増設して対応にあたっている。

担当者は、「7月半ばから現在まで、1カ月以上まとまった雨が降らない状況が続いていて、秋野菜についても収穫量が減ってくるのでは」と懸念している。

臨時の給水所を増設(飯山市)
臨時の給水所を増設(飯山市)

ダムの貯水率33%に

松本市や塩尻市に上水道を補給する奈良井ダム。奥の方は水がはっているが、手前は干しあがっている。

ダムの貯水率は33.3%まで下がっているという。

気象庁によると、梅雨明け以降の松本市の降水量は73ミリ程度。平年同時期は96ミリでそれほど少なく感じないが、このうち30ミリはゲリラ雷雨によるものだ。

このため、ダムにも水が貯まっていないという。

塩尻市の奈良井ダム
塩尻市の奈良井ダム

県が管理する17のダムのうち貯水率が50%以下となっているは、奈良井ダムと須坂市の豊丘ダム。

取水制限の目安は20%。管理する県は、貯水率が下がり続ければ周辺自治体と協議しなければならないとしている。

まとまった雨はいつ降るのだろうか?

気をもむ日々が続く。

奈良井ダム(塩尻市)と豊丘ダム(須坂市)は貯水率50%以下
奈良井ダム(塩尻市)と豊丘ダム(須坂市)は貯水率50%以下

(長野放送)

長野放送
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