規格外の野菜など、廃棄予定の食材を必要とする人たちに届ける「フードロスランナー」の活動。こうした活動は食品ロスを減らすと共に地域に笑顔を生んでいる。宮崎・三股町でボランティアとして活動する津崎忠文さんを取材し、“地域で支え合う取り組み”を追った。

出荷されない野菜を“必要な人”のもとへ

約2万5,000人が暮らす自然豊かな三股町では、国内で年間500万トン以上とされる食品ロス減少につながるフードロスランナーの取り組みが続けられている。

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本来食べられるのに廃棄予定となる食材を、必要とする人たちに届けようと、津崎忠文さんを中心にボランティア約10人が町の社会福祉協議会と共に活動している。

廃棄予定の野菜を収穫するボランティアたち
廃棄予定の野菜を収穫するボランティアたち

廃棄予定の食材を企業からもらったり、時には畑に出向いて収穫も行ったりする。この日は車で30分程かけて鹿児島県の曽於市に向かい、長雨の影響で出荷できなくなった水耕栽培のレタスを収穫した。

津崎忠文さん:
商品にならないけど、本当にみずみずしく、すぐに食べられますよね。もったいないと思って。こんなのがいっぱいあるんですよ。それをできるだけ必要なところに活用していただけるのは一番良いと思う

エムエスバイオ・松野良保さん:
せっかく育てた野菜を処分しないといけないと。悲しくなるような感じなので、有効活用していただくと非常に助かります

収穫したばかりの野菜をデイサービス施設へ
収穫したばかりの野菜をデイサービス施設へ

収穫した食材は、新鮮なまま福祉施設などに届ける。

企業などから食材を集め、毎月第3水曜日に「生活が大変」と感じる子育て世帯へ届ける宅食便の取り組みでも、フードロスランナーが活躍している。

三股町社会福祉協議会・長野巻穂さん:
私たちだけではなかなかできない活動ですので、協力体制を整えていただいて非常に助かっています

食事で生まれる“子どもたちの笑顔”

津崎さんは宮崎県出身で、2012年にデザイナーをやめて、東京から父親が暮らす三股町に移り住んだ。町内で子ども食堂の運営にも取り組んでいて、その原点は東日本大震災などの被災者を支援したボランティア活動だという。

キュウリやナスなどが実る家庭菜園では、高齢者や障害者も一緒に過ごせる場所として、月2回開かれる子ども食堂の食材を仲間と一緒に収穫する。

食材を提供・阿部啓信さん:
子どもの頃食料に困って、本当にひもじい思いをしたので、子ども食堂の皆さんに少しでも役に立てばと思って

りんりん食堂を運営・蔵元盟子さん:
地元の人が作っている野菜なので、とても安心して提供できます。子どもたちも喜ぶと思います

地域の人たちが毎回楽しみにしている子ども食堂。美味しい食事と会話を楽しんで、この日もたくさんの笑顔があふれた。

児童:
トマトがおいしかったです

親子で来た母親:
たくさんの野菜を使っておいしいものを作ってもらってありがたいです

「子どもは僕らの未来」

津崎さんは放課後の居場所づくりとして、子どもたちの学習支援にも力を入れていて、元教員など地域の人たちが活動を支えている。

津崎忠文さん:
人が温かいんです。協力してくれるし、それはものすごく大きい。子どもは僕らの未来みたいなものですよ。みんながお互いを思いやって、一緒に助け合いながら生きていける三股であってほしい

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
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