岸田首相は17日、アメリカ・ワシントン郊外にある大統領の別荘「キャンプデービッド」で行われる日米韓首脳会合に出席するため、日本を出発。
岸田首相、バイデン米大統領、韓国・尹錫悦大統領の3首脳が会談するのは、今回で4回目となる。
日米韓首脳が、国際会議の場以外で、3カ国会合のために集まるのは初めてとなる。
首脳会合の舞台は歴代大統領が愛した別荘「キャンプデービッド」
今回の会合の舞台となるのが、米大統領の別荘「キャンプデービッド」。
首都ワシントンから車で約2時間離れたメリーランド州のフレデリック郡にあり、フランクリン・ルーズベルト大統領以来、歴代大統領が静養場所として愛したことで知られる。テニスや乗馬、ハイキングなどを楽しむことができる。
政府関係者によると、2000年以降、ブッシュ元大統領は約150回、オバマ元大統領は約40回、トランプ前大統領は約15回利用したという。
キャンプデービッドは、海外要人を招いて、外交上重要な会談が行われてきた歴史的な場所でもある。
1978年、カーター大統領が仲介役として、イスラエルのベギン首相とエジプトのサダト大統領を招いて合意した、中東和平のための「キャンプデービッド合意」がその代表例だ。
日程調整は難航…それでも「バイデン大統領の思いが強かった」
外交史上、象徴的な意味合いを持つキャンプデービッドを日本の首相が訪れるのは、岸田首相で6人目で、2012年の野田元首相以来、11年ぶりとなる。
一方、バイデン大統領がキャンプデービッドに外国の要人を招待したのは、今回が初めてだという。
今回の会合は、5月のG7(主要7カ国)広島サミットの際に行われた日米韓首脳会合の際、バイデン大統領が開催を呼びかけたことがきっかけだが、水面下での日程調整は難航した。
アメリカでは、9月に入ると2024年の大統領選に向けた動きが本格化するため、米民主党関係者からも「票に結びつきにくい外交よりも、演説会を開いた方がいい」と声も出ていた。
それでも開催にこぎつけたのは、「日本と韓国の関係を重視するバイデン大統領の思いが強かったから」(政府関係者)という。
バイデン大統領は、副大統領時代の2013年、日韓両国を訪問。慰安婦問題で対立する日韓の仲介役として関係改善に尽力した。また大統領就任後も、「日米同盟・日韓関係の再活性化」を目標に掲げ、関係強化に取り組んできた。
ポイントは「定例化」と「協力分野の拡大」
今回の会合の最大のテーマは、「定例化」と「協力分野の拡大」だ。
今回、3首脳は、この枠組みを「定例」で行っていく方針を確認する見通しだ。
「定例化」は、尹政権の誕生以前は日韓関係が冷え込んでいたことなどから、今後、政権が変わったとしても、日米韓の枠組みを揺るぎないものにすることを目指す。
また、これまで北朝鮮の核・ミサイルへの対応が中心だった日米韓の連携だが、それを幅広い分野に広げる。
人工知能(AI)や経済安保、サイバーセキュリティーなど、分野ごとの実務者間協議体を新たに設立することが検討されている。
今回の会合の意義について、首脳会談に先んじて行われた、日米韓の外相会談では、「歴史的な機会だ」との認識で一致していて、政府関係者は「関係性を一段と高みに引き上げる会談だ」と強調している。
(フジテレビ政治部 阿部桃子)