18日、アメリカの首都ワシントン郊外(メリーランド州)の大統領専用の別荘、キャンプデービッドで日米韓首脳会談が開催される。
歴代大統領夫妻が週末や休暇を過ごす地として、また時に外国首脳を迎える地として知られ、数々の会談で世界の歴史を刻んできた場所でもある。

アメリカ海軍のHPより
アメリカ海軍のHPより
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バイデン政権が発足してから約2年半のなかで、外国首脳をここに招くのは、実は初めてのことだ。 

日米韓首脳会談の狙い

会談では、3カ国による首脳会談を定例化して毎年開催することで合意し、共同声明に明記する方向で調整が進められている。

日米韓で北朝鮮や中国をけん制する狙いが
日米韓で北朝鮮や中国をけん制する狙いが

自衛隊と米軍、韓国軍による共同演習を毎年実施することでも一致する見通しで、3カ国の結束を示すことで核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮や覇権を強める中国をけん制する狙いがある。

会談実現の背景には、北朝鮮や中国を含め緊迫化する東アジア情勢に加え、「文在寅政権時代にはあり得なかった」(日本政府関係者)日韓関係の劇的な改善を米側が後押しする狙いもありそうだ。

尹錫悦大統領誕生以降、日韓関係は急速に改善した
尹錫悦大統領誕生以降、日韓関係は急速に改善した

日韓関係をさらに強化し、日米韓の3カ国で、権威主義的な国々と対峙する象徴となる地として、バイデン政権が選んだのがキャンプデービッドとなる。

和平交渉の地となったキャンプデービッド

ワシントンDCの中心部から北西に車で1時間半から2時間ほどにあるキャンプデービッドは、山岳公園内にある軍事施設で1938年に設けられた。

エジプトとイスラエルの首脳が招かれ「キャンプデービッド合意」が結ばれた 1978年
エジプトとイスラエルの首脳が招かれ「キャンプデービッド合意」が結ばれた 1978年

過去に何度も歴史的な会談が行われてきた場所で、米ソ冷戦時代の1959年にはアイゼンハワー大統領(共和党)とソ連のフルシチョフ首相が会談し、緊張緩和を演出した。
1978年には、カーター大統領(民主党)が、エジプト、イスラエルの両首脳を招き、中東和平につながる「キャンプデービッド合意」をとりまとめた。

カーター元大統領に思いを寄せるバイデン氏

バイデン大統領は、同じ民主党のカーター元大統領を敬愛していることでも知られている。

バイデン氏はデラウエア州選出の上院議員1期目だった1976年、当時、ジョージア州知事だったカーター氏の大統領選出馬について、上院議員の中で最初に支持を表明した。

ともにワシントン中心の政治から距離を置く立場だったこともあり、絆を深めていったという。

この44年後、大統領選に出馬したバイデン氏をカーター氏が後押しした。

就任100日に合わせてカーター元大統領の元を訪問 「ADAM SCHULTZ, THE WHITE HOUSE」
就任100日に合わせてカーター元大統領の元を訪問 「ADAM SCHULTZ, THE WHITE HOUSE」

最近ではバイデン氏が大統領就任100日にあわせて、ジル夫人とともにカーター元大統領夫妻の元を訪れて面会したほどだ。

2人を知る連邦議会民主党の幹部も「彼らは非常に親しい友人だ」と話す。そんなバイデン氏にとっては、45年前にカーター元大統領が歴史的合意をとりまとめた功績を自分に重ね、今回、同じく三か国の首脳会談をキャンプデービッドで行うことで、緊張が高まるアジア太平洋地域の安定を実現する歴史的な一歩としたい、そんな憧憬の念を抱いているのかもしれない。

カーター元大統領は2002年にノーベル平和賞を受賞
カーター元大統領は2002年にノーベル平和賞を受賞

カーター元大統領は国際紛争の平和解決への努力により2002年にノーベル平和賞を受賞している。

バイデン政権は、NATOやQUAD(日米豪印の4カ国の枠組み)、AUKUS(米英豪の3カ国の枠組み)が象徴するように、同盟国や友好国との結束を重視し、覇権主義的な国家と対峙することを外交・安全保障政策の基軸としている。

歴史的な合意がまとめられた地で、日米韓3カ国が新たな一歩を踏み出そうとしている。

(FNNワシントン支局 千田淳一) 

千田淳一
千田淳一

FNNワシントン支局長。
1974年岩手県生まれ。福島テレビ・報道番組キャスター、県政キャップ、編集長を務めた。東日本大震災の発災後には、福島第一原発事故の現地取材・報道を指揮する。
フジテレビ入社後には熊本地震を現地取材したほか、報道局政治部への配属以降は、菅官房長官担当を始め、首相官邸、自民党担当、野党キャップなどを担当する。
記者歴は25年。2022年からワシントン支局長。現在は2024年米国大統領選挙に向けた取材や、中国の影響力が強まる国際社会情勢の分析や、安全保障政策などをフィールドワークにしている。