8月15日は「終戦の日」。平和への願いを込めたダンスの公演が、7月9日に熊本・合志市で上演された。公演では中学生やダンサーたちが特攻隊員たちの葛藤を表現した。

戦時中の特攻隊をテーマにした公演

ロシアのウクライナ侵攻が続く中、平和について考えてもらおうと、合志市文化協会は「戦争と平和」がテーマのバレエやダンスの公演を開いた。

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バレエ公演では、ウクライナ出身のダンサー、ヤロスラフ・サレンコさんが踊りを披露した。

続いては、戦時中の特攻隊をテーマにした公演。題材となったのは、当時特攻隊の中継基地だった旧陸軍菊池飛行場の隣で工員として働いていた中原妙子さんの体験だ。

中原妙子さん:
(特攻隊員は)「行きたくないなあ」と言った。「沖縄の船に突っ込みます」って。童顔でよか息子だった

特攻隊員の葛藤を紙芝居やダンスで表現

2023年2月、この出来事を知った菊池飛行場の近くにある泗水中学校の生徒が紙芝居を制作。この日は完成した紙芝居を生徒たちが朗読した。

朗読する泗水中学校の生徒:
特攻服を着た若い2人の兵隊が追いかけてきました。「あさってには沖縄に来ているアメリカの戦艦に特攻します」。これから特攻で死んでいく若い2人に「頑張ってください」とも言えず、何と言ってよいのかも分からず、ただ黙って下を向いて見送ることしかできませんでした

さらに、この話をダンサーたちが創作ダンスで表現。舞台は、78年前の日本にタイムスリップ。太平洋戦争末期には、爆弾を積んだ戦闘機で敵の船に体当たりする特攻作戦が始まる。

家族との生活や自らの夢をあきらめ、国のために戦う若き特攻隊員たちの葛藤を描いた。

物語の終盤では、戦争で失った命を天女たちが優しく天国に導く。

公演は多くの観客の胸を打った

中原さんの体験を語り継いだ紙芝居やダンスに、多くの観客が胸を打たれた。

観客:
涙が出た。とてもよかった

観客:
戦争はいけない、絶対避けなければいけないという感想を持った

観客:
今ある戦争がなくなっていってほしい。安全な地球になっていけばいいと思う

「平和に近づけるように…」

舞台に立った子どもたちも、平和の尊さを改めて感じていた。

朗読した中学生:
戦争が身近にあると知ってもらいたいし、紛争なども起きているから、平和に近づけるように活動していきたいなと思いました

朗読した中学生:
「よかったよ」と言ってくれたので、とてもうれしかったです。これからも戦争について、みんなに伝えていけたらいいなと思います

出演者:
すごく苦しい気持ちを感じながら、イメージしながら踊ることができて、やっぱり今の世の中は平和で、とても感謝しながら生きていかなければ…と思うことができました

振付 「レイ DANCE STUDIO」・鹿間れいあさん:
鹿児島の知覧に去年(2022年)の5月に行って、いろいろお話を聞いて資料を集めて、この作品を作ろうと思いました。日本のために戦っていた兵士の本当の気持ちを表現できたかなと思います

(テレビ熊本)

テレビ熊本
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